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認知症の高齢者は賃貸契約できる?本人の意思確認・家族の代理契約・成年後見制度を解説

審査不安


「認知症と診断された親でも、新しい賃貸住宅を借りられる?」

「高齢の母が契約内容を理解できるか心配」

「子どもが代わりに賃貸契約書へ署名してもいい?」

「成年後見人がいないと部屋を借りられない?」

高齢の親や家族の住み替えを考えている方の中には、こうした悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

高齢者の賃貸契約では、年金収入や保証会社の審査だけでなく、本人が契約内容を理解し、契約する意思を持っているかという点も重要になる場合があります。

結論からいうと、認知症と診断されていることだけを理由に、すべての賃貸契約ができなくなるわけではありません。

ただし、契約時の意思能力が十分でない場合には、契約の効力が問題になる可能性があります。また、家族であっても、本人の代わりに当然に契約できるわけではありません。

今回は、埼玉県の公的情報を中心に、認知症や判断能力に不安がある高齢者の賃貸契約、家族による代理、成年後見制度、住み替えの進め方について解説します。


■認知症の高齢者でも賃貸住宅を借りられる?

認知症と診断されていても、本人が契約内容を理解し、その結果を判断できる場合があります。

一方、契約の内容や意味を理解することが難しい状態になっている場合もあります。

そのため、認知症という診断名だけで、契約できるかどうかを一律に決めることはできません。

賃貸契約で重要になる「意思能力」

意思能力とは、自分が行う法律行為の意味や結果を理解し、判断できる能力のことです。

民法第3条の2では、意思能力を有しない状態で行った法律行為は無効と定めています。

例えば、賃貸借契約では、次のような内容を理解しているかが重要になることがあります。

  • どの住宅を借りるのか

  • 毎月いくら家賃を支払うのか

  • 誰が契約者になるのか

  • 契約によってどのような義務が生じるのか

  • どのような条件で退去・解約するのか

ただし、これらは理解すべき事項の例であり、項目を答えられるかどうかだけで意思能力を判定するものではありません。

具体的な契約の有効性について判断が必要な場合は、法律の専門家へ相談しましょう。

法務省|民法(e-Gov法令検索)


■家族が付き添っていれば賃貸契約できる?

高齢者の住み替えでは、子どもや親族が物件探しに付き添うことがあります。

例えば、70代の母親が引っ越しを希望し、50代の娘が不動産会社との連絡を手伝う場合です。

このような家族のサポート自体に問題があるわけではありません。

ただし、次の3つは区別する必要があります。

立場できること・注意点
家族の付き添い物件探し、説明の同席、連絡補助など
契約の代理人有効な代理権の範囲で本人に代わって契約
家族自身が契約者家族が借主となり、契約条件に従って居住者を定める

家族であることだけで、本人の賃貸契約を代理する権限が自動的に生じるわけではありません。

また、本人に契約の意思能力がない状態で、形式的に本人の名前を記入したり、代わりに署名したりすることは避けなければなりません。

本人の状況や希望を踏まえて、適切な契約方法を確認することが大切です。


■高齢の親の代わりに子どもが契約者になれる?

高齢の親が住む住宅について、子ども自身が賃貸借契約の借主となる方法を検討する場合があります。

例えば、子どもが契約者となり、高齢の親が入居者として住むケースです。

ただし、すべての物件で認められるわけではありません。

貸主・管理会社・保証会社によって、契約者と入居者が異なる場合の取扱いが違うためです。

確認したい事項

  • 子どもが契約者になることを認めてもらえるか

  • 実際に居住する親を入居者として登録できるか

  • 保証会社の審査条件

  • 家賃を支払う人

  • 緊急時の連絡方法

  • 契約更新・解約時の手続き

ここで重要なのは、子ども自身が借主になる契約と、親の代理人として親名義の契約を結ぶことは別の仕組みだという点です。

家族名義での契約については、こちらの記事でも詳しく解説しています。


高齢の親が住む賃貸を子ども名義で借りられる?親族契約・審査・保証会社を解説


■成年後見制度とは?賃貸契約にも関係する?

成年後見制度は、認知症などによって判断能力が十分でない方の権利や財産を守り、必要な契約や財産管理などを支援する制度です。

法務省では、成年後見制度を大きく次の2つに分けて説明しています。

  1. 法定後見制度

  2. 任意後見制度

法務省|成年後見制度について

法定後見制度

法定後見制度は、本人の判断能力が不十分になっている場合に、家庭裁判所が成年後見人・保佐人・補助人などを選任する制度です。

本人の判断能力の程度などに応じて、利用する類型や支援内容が異なります。

任意後見制度

任意後見制度は、本人の判断能力が十分なうちに、将来の判断能力の低下に備えて、支援してもらう人や代理権の内容を契約で決めておく制度です。

任意後見契約は公正証書で締結します。

その後、本人の判断能力が不十分になり、家庭裁判所が任意後見監督人を選任すると、契約に基づく代理権が行使される仕組みです。

法定後見と任意後見の違い

比較項目法定後見任意後見
主な利用場面すでに判断能力が不十分将来の判断能力低下に備える
支援者家庭裁判所が選任本人が事前に契約で決める
代理権類型・審判内容による任意後見契約の内容による
賃貸契約権限・契約内容を確認契約で定めた代理権を確認

成年後見制度を利用していれば、どのような契約でも無条件に代理できるわけではありません。

特に保佐・補助では、代理権の有無と範囲を個別に確認する必要があります。


■成年後見人がいれば賃貸審査に必ず通る?

いいえ。

成年後見人などが関与していることと、賃貸住宅の入居審査に通ることは別の問題です。

例えば、次のような確認が必要になる場合があります。

  • 本人の入居意思

  • 契約上の代理権

  • 家賃の支払い方法

  • 年金などの収入

  • 保証会社の利用条件

  • 実際に生活する人

  • 入居後の連絡・支援体制

成年後見人が財産管理を行っていても、当然に連帯保証人になるわけではありません。

また、成年後見人がいることだけで保証会社の加入条件が免除されるものでもありません。

契約する権限と、入居審査の条件は分けて確認しましょう。


■認知症が疑われる場合は、いつ相談すればいい?

高齢の親の住み替えを考えている場合、物件の申込みを進める前から相談することが大切です。

例えば、次のような状況です。

「親が引っ越したいと言っているけれど、契約書の内容を理解できるか不安」

「本人の希望が日によって変わり、何を望んでいるのか確認が難しい」

「子どもが代理で手続きしたいが、代理権があるのかわからない」

こうした場合は、本人の希望を尊重しながら、必要な支援を考えましょう。

診断名や年齢だけで契約能力を決めつけず、契約内容を理解できるか、どのような補助があれば意思を表明できるかを丁寧に確認することが重要です。

本人の判断能力や契約の有効性について問題がある場合には、法律の専門家や成年後見制度の相談窓口へ確認してください。


■埼玉県で成年後見制度を相談できる窓口

埼玉県では、成年後見制度に関する情報や相談窓口を案内しています。

認知症などによって判断能力に不安がある方や、そのご家族が制度について確認できるよう、専門職団体や自治体の情報がまとめられています。

埼玉県公式|成年後見制度について

さいたま市の相談窓口

さいたま市では、成年後見制度に関して弁護士会・司法書士会などの専門職による相談先を紹介しています。

例えば、次のような相談先があります。

相談先電話番号
埼玉弁護士会 高齢者・障がい者権利擁護センター「しんらい」048-865-5770
成年後見センター・リーガルサポート埼玉支部050-5527-9897

受付時間や相談方法は窓口によって異なります。

利用前に公式サイトを確認してください。

さいたま市公式|成年後見制度等に関する相談窓口

川口市・川越市・越谷市などの場合

さいたま市以外でも、各市町村の高齢者福祉担当窓口や成年後見制度の相談窓口などが相談先になる場合があります。

また、地域包括支援センターは、高齢者の生活や介護、権利擁護などに関する総合的な相談先です。

ただし、地域包括支援センターが賃貸物件を仲介したり、成年後見人を直接選任したりするわけではありません。

それぞれの窓口の役割を区別して相談しましょう。


■高齢者の住み替えは「本人の希望」と「契約方法」の両方を確認する

家族が住み替えを検討している場合、先に物件を探し、本人の意思確認を後回しにしてしまうことがあります。

しかし、住宅は本人が生活する場所です。

契約手続きだけではなく、本人がどこで、どのように暮らしたいと考えているかも重要です。

住み替え前に整理したいこと

項目確認したいこと
本人の希望引っ越しを希望しているか
生活環境通院・買い物・公共交通
家賃年金などの収入に合うか
契約意思契約条件を理解できるか
契約方法本人契約・家族契約・適法な代理
入居審査貸主・保証会社の条件
生活支援必要な見守り・福祉サービス
緊急時連絡先・対応方法

本人の意思能力に疑問がある場合でも、家族が一方的に住まいを決めるのではなく、必要な支援者と相談しながら進めることが大切です。


■高齢者の賃貸物件を探すときの進め方

ステップ1|本人の希望を確認する

まず、本人がどのような生活を希望しているか確認しましょう。

家族の希望だけでなく、本人の考えを尊重することが大切です。

ステップ2|現在の状況を整理する

年金収入、家賃の予算、生活上の支援、通院先などを整理します。

ステップ3|契約方法について相談する

本人が契約内容を理解できるか不安がある場合は、必要に応じて法律の専門家や成年後見制度の相談窓口へ確認します。

家族が代理する場合には、代理権の根拠と範囲を明確にしましょう。

ステップ4|不動産会社に希望条件を伝える

契約者・実際の入居者・家賃支払い方法などを整理し、申込みが可能な物件を探します。

なお、契約方式や代理権が未確定であれば、その点も事前に伝えましょう。

ステップ5|契約条件を確認する

家賃・共益費・契約期間・更新・解約・保証会社・入居後の連絡体制などを確認します。

契約方法が整理できていない段階で、家族が本人の名前を使って契約を進めないことが重要です。


■成年後見制度を利用しないと高齢者は賃貸を借りられない?

成年後見制度は、すべての高齢者が賃貸契約をするために必要な制度ではありません。

本人が契約内容を理解して判断できる場合には、通常の賃貸借契約を検討できます。

また、家族自身が契約者となる方法が認められる物件もあります。

一方で、本人の判断能力が十分でなく、法律上の代理が必要になる場合には、成年後見制度などの検討が必要になる可能性があります。

重要なのは、必要性がないのに一律に制度利用を求めるのでも、必要な代理権の確認を省くのでもなく、本人の状況に合わせて判断することです。

高齢者向け住宅の種類を比較したい方は、こちらの記事も参考にしてください。


高齢者の賃貸はどれを選ぶ?一般賃貸・セーフティネット住宅・居住サポート住宅の違い


■よくある質問(FAQ)

Q1.認知症と診断されたら賃貸契約はできませんか?

認知症と診断されたことだけで、すべての賃貸契約ができなくなるわけではありません。

契約時に本人が契約内容の意味や結果を理解できるかなど、個別の事情が重要になります。

Q2.子どもが親の代わりに賃貸契約書へ署名できますか?

子どもであることだけで当然に代理権が認められるわけではありません。

有効な代理権があるか、子ども自身が借主となる契約なのかなどを確認する必要があります。

Q3.成年後見人がいれば保証会社の審査は不要ですか?

いいえ。

成年後見人の代理権と、保証会社の入居審査は別の問題です。

Q4.成年後見制度の相談はどこでできますか?

市区町村の担当窓口、専門職団体、成年後見制度の相談機関などが相談先になります。

埼玉県やさいたま市でも相談先を案内しています。

Q5.埼玉県以外でも同じ考え方ですか?

民法や成年後見制度の基本的な仕組みは全国共通です。

東京都・千葉県・神奈川県・茨城県・栃木県・群馬県でも、本人の契約意思や代理権を確認する必要があります。


■まとめ|高齢者の賃貸契約は本人の意思と適切な契約方法が重要

認知症や判断能力に不安がある高齢者でも、賃貸住宅を借りる方法を検討することはできます。

ただし、本人が契約内容を理解できるか、家族がどのような立場で関わるか、代理権が必要かなどを整理することが大切です。

今回のポイントは次の5つです。

  1. 認知症という診断名だけで契約の可否は決まらない

  2. 本人の意思と契約時の意思能力を確認する

  3. 家族の付き添いと契約の代理を区別する

  4. 成年後見制度の必要性や代理権を確認する

  5. 物件探しと法律上の手続きを並行して整理する

スマイファミリーでは、埼玉県をはじめ、東京都・千葉県・神奈川県・茨城県・栃木県・群馬県の関東7都県で、高齢者・シニアの方のお部屋探しについてご相談を承っています。

「高齢の親が住める賃貸物件を探したい」

「家族が契約を手伝う場合の物件条件を知りたい」

「年金暮らしや保証会社の審査が不安」

といった場合も、希望する家賃や地域、実際に住む方の状況を整理しながら物件探しを進めましょう。

なお、成年後見制度や契約の有効性についての法律上の判断は、弁護士・司法書士など適切な専門家へ確認してください。


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