
テナントの定期借家契約とは?普通借家との違い・再契約・中途解約を契約前に確認
店舗・事務所・美容室・サロン・クリニックなどのテナントを探していると、募集条件に、
「定期借家3年」
「定期建物賃貸借契約5年」
「再契約相談可」
「再契約料あり」
などと記載されていることがあります。
そこで、
「定期借家って普通の賃貸と何が違う?」
「3年後には必ず退去しないといけない?」
「再契約できるなら普通借家と同じ?」
「途中で閉店したら解約できる?」
「高額な内装工事をしても大丈夫?」
「保証金は戻ってくる?」
「定期借家のテナントは避けた方がいい?」
と疑問を感じる方も多いと思います。
結論からいうと、
定期建物賃貸借契約は、契約で定めた期間が満了すると、原則として更新されず契約が終了する仕組みです。
貸主と借主の双方が合意すれば再契約できる場合がありますが、
「再契約できる可能性があること」と「当然に契約を継続できること」は別です。
国土交通省も、定期建物賃貸借について、契約期間満了により更新されることなく終了する制度と案内しています。双方が合意すれば、改めて再契約することは可能です。
特に店舗・事業用テナントでは、
契約期間
+ 内装・設備投資額
+ 投資回収期間
+ 中途解約条件
+ 再契約条件
+ 保証金
+ 原状回復
までセットで確認することが重要です。
今回は、埼玉・東京・千葉・神奈川・茨城・栃木・群馬でテナント・事業用物件を探している法人・個人事業主の方へ、定期借家契約について解説します。
■定期借家契約とは?
正式には、
定期建物賃貸借契約
と呼ばれます。
通常の賃貸借契約と大きく異なるのは、
契約期間が終わったら更新されることを前提としていない
という点です。
例えば、
2026年10月1日
↓
2031年9月30日
までの5年間という定期借家契約なら、原則として2031年9月30日の期間満了によって契約が終了します。
■普通借家契約との違いは?
テナント募集では、
普通借家契約
と
定期借家契約
があります。
大きな違いは、
普通借家契約
→契約期間満了後も更新・継続する場合がある
定期借家契約
→契約期間満了で終了することを前提とする
という点です。
そのため、テナントを探すときは、
家賃
広さ
立地
だけでなく、
普通借家なのか定期借家なのか
まで必ず確認しましょう。
■「定期借家3年」なら3年後に必ず退去?
契約としては、3年間の期間満了で終了するのが基本です。
ただし、
貸主
+
借主
の双方が合意すれば、
新しく再契約
して営業を続けられる場合があります。
■「再契約可」と書いてあれば安心?
必ず再契約できるという意味ではありません。
募集図面に、
「再契約相談可」
と記載されている場合でも、
期間満了時に再び貸主と協議する
という意味の場合があります。
再契約については、
・貸主の意向
・賃料滞納の有無
・営業状況
・建物の利用計画
・建替え予定
・再開発
・売却予定
・契約違反の有無
などによって変わる可能性があります。
■「更新」と「再契約」は同じ?
同じではありません。
定期借家では、契約期間満了によって一度契約が終了します。
その後も借りる場合は、
新しく契約を結び直す
という考え方になります。
つまり、
「更新できる」
ではなく、
「双方が合意すれば再契約できる」
という点を理解しておきましょう。
■再契約すると同じ条件で借りられる?
同じとは限りません。
再契約時に、
・賃料
・共益費
・契約期間
・保証金
・再契約料
・保証会社
・特約
などが変更される可能性があります。
例えば、
現在の賃料30万円
↓
再契約時32万円
となることも考えられます。
再契約できることと、現在の条件がそのまま続くことは別です。
■再契約料はかかる?
物件によります。
例えば、
・新賃料1か月分
・固定金額
・再契約事務手数料
などが設定されることがあります。
募集図面だけでは分からないこともあるため、
契約書・特約・重要事項説明書
まで確認しましょう。
■定期借家契約には特別な説明がある?
あります。
国土交通省の案内では、定期建物賃貸借契約を結ぶ際には、契約期間を定めて書面で契約することに加え、貸主側から契約前に、
契約の更新がないこと
期間満了によって契約が終了すること
などを記載した事前説明文書を交付し、説明する必要があります。
■重要事項説明だけでいい?
定期借家の事前説明と、不動産会社による重要事項説明は別のものです。
国土交通省も、宅地建物取引業者が通常行う重要事項説明だけでは、定期借家契約について貸主が行う事前説明をしたことにはならないと案内しています。
ただし、不動産会社が貸主の代理人としてその説明を行うことはできます。
■契約期間が1年以上なら満了前に通知される?
契約期間が1年以上の定期建物賃貸借では、貸主は原則として、
期間満了の1年前から6か月前まで
の間に、期間満了によって契約が終了することを通知する必要があります。
■通知が来なかったら自動更新?
自動的に普通借家になるわけではありません。
国土交通省によると、必要な期間内に通知をしなかった場合、貸主は通知後6か月間は契約終了を借主へ主張できません。
その後、再契約が成立しなければ退去することになります。
■テナントを途中で解約できる?
ここは事業用テナントで特に重要です。
例えば、
定期借家5年
で契約したものの、
2年後に閉店することになった
というケースがあります。
この場合、
定期借家だから自由に途中解約できるとは限りません。
■住宅と店舗では中途解約の考え方が違う?
注意が必要です。
借地借家法上の定期借家には、一定の居住用建物について、転勤・療養・親族の介護などやむを得ない事情がある場合に中途解約できる仕組みがあります。
国土交通省の案内では、この法定の中途解約制度は、一定の条件を満たす居住用建物について説明されています。
店舗・事務所などの事業用テナントでは、
契約書にどのような中途解約条項があるか
を特に確認する必要があります。
■中途解約条項で何を確認する?
例えば、
「6か月前までに書面で解約通知」
という契約があります。
一方で、
「契約期間中は中途解約不可」
という条件も考えられます。
さらに、
・違約金
・残存期間分の賃料
・賃料○か月分
などの負担を定めた特約が設定される場合もあります。
■「解約予告6か月」とは?
例えば、
9月30日に契約を終了したい
場合、
3月31日までに解約通知
というような条件です。
住宅より長い解約予告期間が設定されているテナントもあります。
そのため、
閉店を決めた日=賃料の支払いが終わる日
ではありません。
■営業をやめても家賃はかかる?
契約が終了していなければ、営業をやめたあとも賃料が発生する場合があります。
例えば、
営業終了
↓
原状回復工事
↓
明渡し
↓
契約終了
という流れです。
テナントでは、
営業終了日と明渡し日を分けて考える
必要があります。
■定期借家なら賃料は安い?
必ず安いとは限りません。
定期借家だから、
「普通借家より必ず家賃が安い」
というルールはありません。
立地、面積、設備、築年数、契約期間、市場状況などによって条件は異なります。
■定期借家物件は避けた方がいい?
一概には言えません。
事業計画に合っていれば、定期借家でも検討できます。
例えば、
・期間限定店舗
・ポップアップショップ
・期間限定オフィス
・プロジェクト拠点
・数年後の移転が決まっている企業
などでは、使用できる期間が明確なことがメリットになる場合もあります。
重要なのは、
定期借家だから良い・悪いではなく、自分の事業計画と契約期間が合っているか
です。
■飲食店は契約期間を特に確認する
飲食店では、
・厨房設備
・ダクト
・給排水
・ガス工事
・電気工事
・空調
・看板
・内装
などに大きな費用がかかる場合があります。
例えば、
開業工事1,500万円
定期借家3年
という条件なら、
3年間でどこまで投資を回収できるのか
を考える必要があります。
■美容室・サロンも設備投資が大きい
美容室では、
・シャンプー台
・給排水工事
・電気工事
・セット面
・空調
・内装
などへ投資します。
そのため、
「条件が良い物件だから」
だけではなく、
その店舗で何年間営業できる可能性があるのか
まで確認しましょう。
■クリニックの場合は?
クリニックでは、
・診療設備
・給排水
・電気容量
・間仕切り
・医療機器
・待合室
など、大きな設備投資になる可能性があります。
短期間の定期借家なら、将来的な移転費用まで考えて事業計画を作る必要があります。
■事務所なら契約期間は気にしなくていい?
事務所でも重要です。
例えば、
・内装工事
・LAN配線
・電話設備
・什器
・看板
・移転費用
などがあります。
さらに、移転すると、
取引先
金融機関
行政手続き
ホームページ
名刺
などの住所変更も必要になることがあります。
長期間同じ場所を拠点にしたい企業なら、契約期間も重要です。
■内装投資は何年で回収できる?
例えば、
内装・設備工事500万円
をかけた場合、
3年間使用できるのか
5年間使用できるのか
10年間使用できるのか
で投資回収計画が変わります。
定期借家では、
「きっと再契約できるだろう」という前提だけで投資計画を作らない
ことが重要です。
■電気・給排水などの追加工事も投資額に含める
内装費だけではありません。
事業内容によっては、
・電気容量増設
・動力
・三相200V
・給排水工事
・ダクト
・消防設備
などの追加工事が必要になる場合があります。
スマイファミリーHPでは、テナントの電気容量・動力・三相200Vについても別の記事で詳しく解説しています。
→
「テナントの電気容量は足りる?動力・三相200V・ブレーカーを契約前に確認」
■「再契約できると思って工事した」は危険
契約時に、
「たぶん再契約できます」
「今までも再契約しています」
と言われたとしても、多額の投資をするなら契約条件を確認しましょう。
特に、
・再契約可能か
・再契約を保証する内容なのか
・再契約時の賃料
・再契約料
・再契約期間
・再契約しない可能性
を確認します。
■居抜きなら定期借家でも検討しやすい?
居抜き物件では、
前テナントの内装
厨房設備
空調
什器
などを活用できる場合があります。
その結果、新規にスケルトンから工事するよりも初期投資を抑えられれば、定期借家でも検討しやすくなるケースがあります。
ただし、
居抜き=退去時もそのままで返せる
とは限りません。
契約によっては、居抜きで借りたにもかかわらず、
退去時はスケルトン返し
を求められる場合があります。
スマイファミリーHPでは、居抜き店舗の造作譲渡・設備故障・原状回復について詳しく解説しています。
→
「埼玉で居抜き店舗を借りる前に確認したいことは?造作譲渡・設備故障・原状回復を解説」
■契約満了時は原状回復する?
契約内容によります。
テナントでは、
・入居時の状態へ戻す
・スケルトン返し
・借主が設置した設備を撤去
・既存造作まで撤去
・貸主指定業者で工事
などの条件が設定される場合があります。
定期借家では契約終了日が決まっているため、
満了日までに原状回復工事を終えられるか
も確認しましょう。
■契約満了日まで営業できる?
必ずしもそうとは限りません。
例えば、
契約終了日:9月30日
でも、
9月30日までに原状回復工事を完了し、鍵を返却する
必要がある契約なら、実際の営業終了日はもっと前になります。
つまり、
契約満了日
=
最終営業日
とは限りません。
■保証金は満了時に全部戻る?
契約によります。
テナントでは、
・保証金
・敷金
・償却
・原状回復費
・未払い賃料
などが関係します。
定期借家の契約期間を満了したからといって、
保証金が必ず全額返還されるとは限りません。
スマイファミリーHPでは、テナントの保証金・敷金・償却についても詳しく解説しています。
→
「テナントの保証金・敷金・償却とは?退去時にいくら戻るか契約前に確認」
■契約満了でも償却される?
契約に償却条項があれば、期間満了による退去でも償却が行われる場合があります。
例えば、
保証金300万円
20%償却
という契約なら、退去理由にかかわらず契約条件に従って償却される場合があります。
さらに、
保証金の償却とは別に原状回復費が必要
となる契約もあります。
「保証金を多く預けているから退去費用は大丈夫」
と判断しないようにしましょう。
■貸主が建替えを予定していることもある?
あります。
貸主が定期借家を選ぶ背景として、
・将来の建替え
・再開発
・売却計画
・一定期間だけ貸したい
などの事情がある場合があります。
気になる場合は、
「この物件が定期借家になっている理由は何ですか?」
と確認してみましょう。
■再開発エリアでは契約期間を見る
駅前などでは、将来的な建替えや再開発計画などにより、期間を限定して募集されることがあります。
好立地で条件が魅力的でも、
定期借家2年
定期借家3年
などであれば、その期間で事業として成立するか判断する必要があります。
■フランチャイズ店舗は本部にも確認する
フランチャイズの場合、
・最低契約期間
・出店基準
・投資回収期間
・店舗面積
・看板
・内装仕様
など、本部独自の条件があります。
例えば、
物件:定期借家3年
本部:5年以上の契約期間が必要
という場合は条件が合いません。
申込み前に確認しましょう。
■融資を利用する場合も契約期間を見る
店舗開業では、金融機関や日本政策金融公庫などから融資を受けることがあります。
例えば、
借入返済7年
定期借家3年
なら、
3年後に再契約できなかった場合の移転費用まで考える必要があります。
定期借家だから一律に融資が受けられないという意味ではありませんが、事業計画を作成するときは契約期間を正確に把握しておきましょう。
■設備の耐用期間と契約期間も考える
例えば、
高額な業務用設備を新品で導入
↓
定期借家3年
の場合があります。
設備自体はまだ使用できても、3年後に物件を退去することになれば、
・次の店舗へ移設
・売却
・撤去
・処分
などが必要になる可能性があります。
■再契約できなかったら造作はどうする?
契約満了で退去する場合、
・撤去する
・売却する
・次店舗へ移設する
・貸主へ残す
・次の借主へ造作譲渡する
などが考えられます。
ただし、
次の借主へ自由に造作譲渡できるとは限りません。
貸主承諾、次の借主の審査、業態、契約条件などが関係します。
■定期借家の契約前に何を確認する?
最低でも次を確認しましょう。
・普通借家か定期借家か
・契約開始日
・契約満了日
・再契約の可否
・再契約条件
・再契約料
・再契約時の賃料
・中途解約できるか
・解約予告期間
・違約金
・保証金
・償却
・原状回復範囲
・スケルトン返しか
・造作譲渡できるか
・貸主指定工事の有無
・満了時の明渡し条件
■契約前に契約書案を確認できる?
可能であれば、正式契約前に契約内容を確認しましょう。
テナントでは、契約後に、
「中途解約できないことを知らなかった」
「再契約料があるとは知らなかった」
「退去時はスケルトン返しだった」
「保証金とは別に原状回復費が必要だった」
と気づくと影響が大きくなります。
募集図面だけではなく、
契約書・特約まで確認する
ことが重要です。
■定期借家テナントで一番重要なことは?
一番重要なのは、
使用できる期間と、事業へ投入する資金のバランス
です。
例えば、
内装工事1,000万円
設備500万円
保証金300万円
なら、開業時点で大きな資金を投入します。
その店舗を、
3年間使えるのか
5年間使えるのか
10年間使える可能性があるのか
によって事業計画は変わります。
定期借家では、
「再契約できるだろう」ではなく、「再契約できなかった場合でも事業として成り立つか」
まで考えて判断しましょう。
■よくある質問
Q. 定期借家は契約期間が終わると自動更新されますか?
原則として自動更新されません。期間満了によって契約が終了する制度です。貸主と借主双方が合意すれば、改めて再契約することは可能です。
Q. 「再契約可」なら必ず継続できますか?
必ずとは限りません。「再契約相談可」などの場合は、期間満了時に貸主・借主双方の合意が必要になることがあります。
Q. 定期借家の店舗は途中で解約できますか?
契約内容によります。事業用テナントでは、中途解約条項、解約予告期間、違約金などを契約前に確認することが重要です。
Q. 定期借家5年なら5年間営業しないといけませんか?
契約に中途解約条項があれば途中で解約できる場合があります。ただし、解約予告期間や違約金などが設定されている可能性があります。
Q. 再契約したら賃料も同じですか?
同じとは限りません。再契約時に賃料、共益費、契約期間、再契約料などが変更される可能性があります。
Q. 居抜きで借りれば退去時も居抜きで返せますか?
契約によります。居抜きで借りた店舗でも、退去時にはスケルトン返しを求められる場合があります。
Q. 契約満了なら保証金は全部返ってきますか?
契約内容によります。償却、未払い賃料、原状回復費用などが関係するため、保証金が全額戻るとは限りません。
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「定期借家と普通借家の違いが分からない」
「長期間営業できる店舗を探したい」
「再契約できる物件なのか確認したい」
「中途解約条件を確認してから契約したい」
「高額な内装工事を予定している」
「保証金・償却・原状回復まで確認したい」
「居抜き店舗を探している」
このような場合も、
賃料
+ 契約期間
+ 再契約
+ 中途解約
+ 内装・設備投資
+ 保証金
+ 原状回復
まで確認しながら物件をお探しします。
定期建物賃貸借は、契約期間満了によって更新されることなく終了することを前提とした制度です。
だからこそテナントでは、
「その物件を借りられるか」だけではなく、「その場所で事業投資を回収できる期間が確保できるか」
まで確認することが重要です。
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