
生活保護で賃貸を退去するときの費用はどうなる?原状回復・クリーニング・違約金を解説
生活保護を受給しながら賃貸住宅から転居することになったとき、
「退去費用も生活保護から支給される?」
「ハウスクリーニング代は自分で払う?」
「壁紙に傷があるけど、全部請求される?」
「敷金を払っているから追加費用はかからない?」
「短期解約違約金がある場合はどうする?」
「新居の初期費用は相談できても、今の部屋の退去費用はどうなる?」
と不安になる方もいると思います。
結論からいうと、
生活保護を受給しているからといって、賃貸住宅の退去時に請求される費用がすべて自動的に公費で支払われるわけではありません。
まず確認しなければならないのは、
本当に借主が負担するべき退去費用なのか
という点です。
賃貸住宅の原状回復について、国土交通省は、借主の故意・過失や通常の使用を超える使い方によって生じた損傷などを借主負担とし、経年変化や通常使用による損耗は原則として貸主側で考えるという基本的な考え方を示しています。 国土交通省
つまり、
「退去するから室内を全部新品にする費用を払う」
というものではありません。
生活保護受給中の転居では、新居探しだけでなく、現在の部屋の解約・退去・敷金精算まで含めて早めに確認しておくことが重要です。
スマイファミリーでは、東京・埼玉・千葉・神奈川・茨城・栃木・群馬など関東で、生活保護を受給中・申請中の方のお部屋探しについてご相談を承っています。
埼玉・東京など関東で生活保護のお部屋探し|住宅扶助・賃貸審査・引越しを解説
■まず現在の賃貸借契約書を確認する
転居が決まったら、新しい物件だけを見るのではなく、現在住んでいる部屋の賃貸借契約書を確認します。
特に見ておきたいのは、
・解約予告期間
・解約方法
・退去日
・家賃の日割りの有無
・短期解約違約金
・ハウスクリーニング特約
・原状回復特約
・敷金
・鍵交換や紛失時の費用
・退去立会い
などです。
例えば、
「1か月前までに解約通知」
という契約なら、引っ越し日だけを先に決めると、旧居と新居の家賃が重なる可能性があります。
生活保護受給中の場合は、転居日や契約日を自己判断だけで進めず、ケースワーカーとも調整しましょう。
■生活保護なら原状回復費は全部払ってもらえる?
一律にそう考えることはできません。
新居へ転居する際に必要となる敷金等や引っ越し費用については、転居の必要性が認められた場合に一定の範囲で相談できることがあります。スマイファミリーの既存記事でも、福祉事務所へ事前確認したうえで転居を進めることを案内しています。 スマイファミリー
しかし、
新居へ入るための費用
と、
今まで住んでいた部屋について退去時に発生した費用
は同じものとして考えない方がよいです。
原状回復費などを請求された場合は、
何の費用なのか
契約上借主負担なのか
損傷原因は何か
金額はいくらなのか
を確認したうえで、支払いが難しい場合はケースワーカーや管理会社へ早めに相談してください。
■そもそも原状回復とは?
原状回復という言葉から、
「借りたときと完全に同じ状態へ戻す」
と考える方もいます。
しかし国土交通省のガイドラインでは、原状回復を、借主の故意・過失や通常使用を超える使用などによって生じた損耗・毀損を復旧するものとして整理しています。
普通に生活していて自然に古くなった部分まで、新品に戻すという意味ではありません。 国土交通省
■通常損耗・経年劣化とは?
例えば、
家具を普通に置いていたことによる床の軽いへこみ
日光による壁紙の変色
設備の経年劣化
通常生活による細かな摩耗
などは、一般的に通常損耗・経年変化として考えられます。
こうしたものについて、
「退去したから入居者が全部交換してください」
となるとは限りません。
退去費用の請求を受けたら、
どこを、なぜ、どの程度直す費用なのか
を確認しましょう。 国土交通省
■借主負担になり得るものは?
一方、
壁へ大きな穴を開けた
不注意で床を大きく傷つけた
設備を故意・過失で壊した
通常必要な掃除をせず汚れを大きくした
などの場合は、借主側の負担になる可能性があります。
ただし、
一部分を傷つけた
↓
部屋全体を新品にする
↓
全額借主負担
と自動的に決まるものではありません。
補修範囲や経過年数なども考慮する考え方が国土交通省のガイドラインで示されています。 国土交通省
■壁紙に傷がある場合
例えば、家具をぶつけて壁紙の一部分を破いてしまった場合があります。
この場合、
傷そのものは借主の不注意
と判断される可能性があります。
しかし、
壁紙がすでに長期間使用されている
一部分だけ補修できる
部屋全体の張替えが本当に必要なのか
なども確認します。
「傷を付けたから張替え代は全部自分」
とその場で判断せず、見積内容を確認しましょう。
■タバコを吸っていた場合
室内喫煙によって、
壁紙のヤニ
黄ばみ
強い臭い
などが生じた場合、通常使用を超える損耗として借主負担になる可能性があります。
特に契約で室内禁煙となっていた場合は、契約条件についても確認が必要です。
ただし、喫煙したという事実だけで、どのような工事でも無条件に全額負担となるわけではありません。
実際の汚損範囲や工事内容を確認しましょう。
■ペットによる傷・臭い
ペット可物件でも、
ペットが付けた傷まで全部貸主負担
という意味ではありません。
例えば、
猫が壁を大きく傷つけた
犬が建具を破損した
尿などが床へ染み込んだ
強い臭いが残った
などの場合は、原状回復費用を請求される可能性があります。
生活保護受給中にペット可物件へ住む場合でも、退去時の費用については通常の賃貸契約と同じように確認が必要です。既存の生活保護+ペット記事でも、ペット可であっても傷・汚れ・臭いの状況によって借主負担が生じる可能性を案内しています。 スマイファミリー
■ハウスクリーニング代はどうなる?
賃貸契約では、
退去時クリーニング費用
について特約が設定されていることがあります。
例えば、
退去時クリーニング費 44,000円
などです。
この場合はまず、
契約書に記載があるか
契約時にどのように説明されていたか
何の清掃費用なのか
を確認してください。
生活保護を受給しているという理由だけで、その契約上の費用が自動的になくなるわけではありません。
一方で、契約書に記載されているからといって、請求内容を何も確認せず支払う必要があると決めつけることも避けましょう。
■敷金を払っている場合
入居時に敷金を預けている場合、退去時に、
未払い家賃
借主負担となる原状回復費
などを精算したうえで、残額が返還される場合があります。
例えば、
敷金80,000円
借主負担と整理された費用30,000円
なら、ほかに精算事項がなければ差額について返還を検討する形になります。
ただし実際の精算は契約内容によって異なります。
「敷金を払っているから退去費用は一切かからない」
とも、
「敷金は絶対に全部取られる」
とも考えないようにしましょう。
■敷金ゼロ物件では?
敷金なしで入居していても、
借主負担となる原状回復費が発生しない
という意味ではありません。
退去時に借主負担の損傷があれば、別途請求される可能性があります。
特に生活保護のお部屋探しでは、
初期費用が安い
という理由だけで敷金ゼロ物件を選ぶのではなく、
退去時費用まで含めて契約条件を確認する
ことが重要です。
■短期解約違約金にも注意
例えば契約書に、
1年未満の解約:家賃2か月分
2年未満の解約:家賃1か月分
などと設定されている場合があります。
この費用は原状回復費とは別です。
生活保護受給中に転居する場合でも、
現在の契約に短期解約違約金があるか
を必ず確認しましょう。
ケースワーカーから転居について案内を受けていたとしても、現在の賃貸借契約上の条件が自動的になくなるわけではありません。
契約書を持って相談すると分かりやすくなります。
■今の部屋を先に解約しない
これは特に重要です。
生活保護受給中のお部屋探しでは、
現在の部屋を解約
↓
新居を探す
という順番はおすすめできません。
新しい物件では、
住宅扶助の上限
生活保護受給者の入居可否
保証会社
緊急連絡先
初期費用
福祉事務所の確認
などがあります。
条件に合う物件がすぐに見つかるとは限りません。
市外・県外へ転居する場合も、スマイファミリーの既存記事では、先に福祉事務所へ相談し、転居先や費用について確認してから進めるよう案内しています。 スマイファミリー
埼玉で生活保護受給中に市外・県外へ引っ越せる?手続きと注意点を解説
■退去連絡はいつする?
現在の賃貸契約で、
1か月前
2か月前
など、解約予告期間が定められていることがあります。
例えば、
11月30日に退去したい
のに、
11月20日に初めて解約を伝える
と、12月分まで家賃が必要になる可能性があります。
新居への入居日と現在の契約終了日を合わせて考えましょう。
■二重家賃にも注意する
新居を早く契約すると、
現在の住居の家賃
+
新しい住居の家賃
が重なる可能性があります。
生活保護受給中だからといって、どのような二重家賃でも自動的に全額認められるとは考えない方がよいです。
ケースワーカーと、
新居契約日
入居日
現在の解約日
引っ越し日
を整理して進めましょう。
■退去立会いでは何をする?
退去立会いでは、管理会社や貸主などと、
壁
床
天井
建具
設備
水回り
鍵
などの状態を確認することがあります。
確認した傷について、
「これは借主負担です」
と言われる場合もありますが、その場で正確な費用が確定しないケースもあります。
後日、
工事内容
見積金額
負担区分
などが提示される場合があります。
■その場で分からない書類へすぐ署名する?
内容が分からない場合は、確認してから対応しましょう。
特に、
「すべて借主負担と認めます」
など費用負担に関係する内容については、何に同意する書類なのか確認します。
生活保護受給中で支払いが難しい場合も、
「生活保護なので払えません」だけで終わらせず、まず請求内容を確認する
ことが重要です。
■退去時は写真を残す
できれば、
壁
床
水回り
設備
室内全景
などを写真で残しておきましょう。
入居時の写真がある場合は比較できます。
原状回復について国土交通省も、入居時と退去時の物件状態をチェックリストや写真などで確認しておくことを、トラブル防止策として示しています。 国土交通省
■請求書は内訳を確認する
例えば、
退去費用一式 150,000円
だけでは、何の費用か分かりにくいです。
確認したいのは、
壁紙
床
クリーニング
建具
設備
鍵
残置物撤去
など、具体的な項目です。
さらに、
数量
単価
負担割合
などが分かると確認しやすくなります。
■請求金額に疑問がある場合
請求内容について分からないことがあれば、まず管理会社や貸主へ確認します。
例えば、
「この壁紙交換はどの傷についてですか?」
「全面交換が必要な理由は何ですか?」
「この費用は契約書のどこに記載されていますか?」
などです。
国土交通省の原状回復ガイドラインは、退去時の費用負担を判断する際の参考になります。 国土交通省
■支払えない場合は放置しない
退去後に請求書が届き、
「生活費が足りないので払えない」
という場合もあると思います。
そのまま放置すると、
管理会社から督促
保証会社から連絡
今後の対応について通知
などが来る可能性があります。
支払いが難しい場合は、
ケースワーカー
管理会社
必要に応じて法律相談
などへ早めに相談してください。
生活保護を受給していることで、契約上発生した債務が自動的に消えるわけではありません。
■新居の初期費用と旧居の退去費用を混ぜない
転居時には、
新居側
敷金
礼金
仲介手数料
保証料
火災保険
引っ越し費用
などがあり、
旧居側
最終月家賃
原状回復
クリーニング
短期解約違約金
敷金精算
などがあります。
この二つを分けて整理しましょう。
生活保護で転居する場合には、新居の契約費用について福祉事務所の確認を受けながら進めることが重要です。
■更新直前の転居の場合
例えば、
来月契約更新
+
引っ越し予定
ということもあります。
この場合、
更新するのか
退去するのか
更新料が必要になるのか
解約予告期間に間に合うのか
を確認します。
更新料については、一定の場合に生活保護で認定される可能性がありますが、事前にケースワーカーへ相談することが重要です。 スマイファミリー
生活保護で賃貸の更新料は支給される?火災保険・保証会社更新料も契約更新前に確認
■生活保護受給中の退去で整理する順番
転居が必要になったら、次の順番で整理すると分かりやすくなります。
1.ケースワーカーへ転居について相談する
2.現在の賃貸借契約書を確認する
3.解約予告期間を確認する
4.短期解約違約金・退去特約を確認する
5.住宅扶助の条件で新居を探す
6.初期費用見積書を福祉事務所へ確認する
7.新居の契約が可能か確認する
8.現在の部屋の解約日を決める
9.引っ越しを行う
10.旧居の退去立会い・敷金精算を確認する
ポイントは、
「先に今の部屋を解約しないこと」
です。
■よくある質問
Q. 生活保護なら退去費用はすべて支給されますか?
すべての退去費用が自動的に支給されるとは考えないようにしましょう。まず請求された費用が契約上・原状回復上、本当に借主負担なのか確認し、支払いについてはケースワーカーなどへ相談してください。
Q. 壁紙が汚れていたら全部自分の負担ですか?
必ずではありません。原因、損傷範囲、経過年数、契約内容などによって考え方が異なります。 国土交通省
Q. 普通に生活して付いた傷も払いますか?
通常使用による損耗や経年変化については、一般的に借主が原状回復するものではないという考え方が示されています。 国土交通省
Q. 敷金を払っていれば追加請求はありませんか?
必ずではありません。借主負担となる費用が敷金を上回れば追加精算になる可能性があります。
Q. 敷金ゼロなら退去費用もゼロですか?
違います。借主負担となる損傷や契約上のクリーニング費用などがあれば請求される場合があります。
Q. ハウスクリーニング代は生活保護なら免除されますか?
生活保護受給中という理由だけで契約上の費用が自動的に免除されるとは限りません。契約書・特約・請求内容を確認してください。
Q. 短期解約違約金があります。
契約書の条件を確認してください。転居前にケースワーカーにも契約内容を見せておくと安心です。
Q. 退去費用が高くて払えません。
請求内容を放置せず、まず内訳を確認し、ケースワーカーや管理会社へ早めに相談してください。
■関東で生活保護のお部屋探し・転居にお悩みの方へ
生活保護受給中の転居では、
新しい部屋を探すことだけに集中しないこと
が大切です。
現在の部屋には、
解約予告
最終月家賃
原状回復
クリーニング
敷金精算
短期解約違約金
などが関係する場合があります。
そして、
退去時に請求された金額=全部自分が払う
とも、
生活保護=全部公費で支払われる
とも、最初から決めつけないようにしましょう。
契約書、室内状況、請求内容を確認しながら、管理会社・ケースワーカーと一つずつ整理することが重要です。
スマイファミリーでは、東京・埼玉・千葉・神奈川・茨城・栃木・群馬で、生活保護を受給中・申請中の方のお部屋探しや転居についてご相談を承っています。
「現在の部屋をいつ解約すればいいか分からない」「住宅扶助の範囲で次の物件を探したい」「退去と新居契約をどう進めればいいか分からない」という方も、スマイファミリーへお気軽にご相談ください。

