
生活保護の引っ越しで二重家賃は支給される?旧居・新居の家賃重複と日割り計算を解説
「生活保護を受給中だけど、引っ越しで家賃が二重になったらどうなる?」
「今の部屋を月末まで借りていて、新居は15日から家賃が発生する」
「旧居と新居の家賃を両方支給してもらえる?」
「日割り家賃が発生する場合、ケースワーカーにはどう説明する?」
「新しい物件の審査が通ってから今の部屋を解約しても間に合う?」
生活保護を受給しながら賃貸住宅の引っ越しを考える場合、初期費用や住宅扶助の上限だけでなく、現在の住居と新しい住居の家賃が重なる可能性にも注意が必要です。
例えば、現在の部屋は10月31日まで契約が続く一方、新居の家賃が10月15日から発生するケースです。
この場合、一定期間、旧居と新居の両方で家賃が発生します。
一般的に、このような状態を「二重家賃」と呼びます。
結論からいうと、生活保護受給中の転居で家賃が重複した場合でも、真に必要やむを得ない事情があるなど、一定の条件を満たせば住宅扶助で認定される可能性があります。
厚生労働省の「生活保護法による保護の実施要領」では、やむを得ない事情により月の途中で転居した場合について、転居前と転居後の住居それぞれの家賃を一定の範囲内で認定できる旨が定められています。
ただし、すべての二重家賃が無条件に支給されるという意味ではありません。
今回は、埼玉・東京・千葉・神奈川・茨城・栃木・群馬など関東で生活保護を受給している方へ、二重家賃の取り扱い、日割り家賃の計算例、解約予告、契約開始日の調整について詳しく解説します。
■生活保護の引っ越しで二重家賃とは?
二重家賃とは、現在住んでいる部屋と新しく借りる部屋について、同じ期間に家賃の支払いが発生することです。
例えば、次のようなスケジュールです。
項目 | 日付 |
|---|---|
新居の契約開始日 | 10月15日 |
新居へ引っ越す日 | 10月20日 |
旧居の契約終了日 | 10月31日 |
この場合、10月15日から31日までは、新居と旧居の賃料発生期間が重なります。
ここで大切なのは、契約開始日・引っ越し日・契約終了日を区別することです。
3つの日付は同じとは限らない
①新居の契約開始日
新しい賃貸借契約が始まる日です。契約条件により、この日から家賃が発生することがあります。
②実際の引っ越し日
荷物を運び、新しい住居へ移る日です。
③旧居の契約終了日
これまで住んでいた部屋の賃貸借契約が終了する日です。
例えば、10月20日に旧居から荷物をすべて搬出しても、旧居の契約終了日が10月31日なら、契約上は31日まで家賃が発生する場合があります。
実際に住んでいるかどうかと、賃貸借契約上の家賃が発生するかどうかは別の問題です。
■生活保護では二重家賃を住宅扶助で認めてもらえる?
一定の条件を満たす場合、認定される可能性があります。
厚生労働省の実施要領では、被保護者が真に必要やむを得ない事情によって月の途中で転居し、日割り計算による家賃を超える支払いが必要になる場合について、転居前・転居後それぞれの住居の家賃を、各1か月分の基準額の範囲内で認定できる旨が定められています。
制度上のポイント
確認事項 | 内容 |
|---|---|
転居の事情 | 真に必要やむを得ない事情があるか |
転居の時期 | 月の途中での転居か |
家賃の支払い | 日割り額を超えて必要な費用があるか |
旧居の家賃 | 契約上いくら必要か |
新居の家賃 | いつからいくら発生するか |
認定額 | 所定の住宅扶助基準内か |
最終判断 | 福祉事務所による確認・認定 |
ここで注意したいのは、制度に規定があるからといって、本人が自由に契約開始日を決め、発生した二重家賃がすべて支給されるわけではないことです。
転居の必要性、家賃が重なった事情、契約上の条件などを確認する必要があります。
事前の相談が重要
新居の賃貸契約を締結した後に、
「旧居と新居の家賃が両方かかるので支給してください」
と相談するより、契約前に状況を説明しておくことが重要です。
特に、転居に必要な初期費用についても支給を希望する場合は、福祉事務所による事前確認が必要になることがあります。
■二重家賃はいくらになる?家賃45,000円の計算例
具体的な金額で確認してみましょう。
次の条件を想定します。
旧居家賃:45,000円
新居家賃:45,000円
新居契約開始日:10月16日
旧居契約終了日:10月31日
新居は暦日数による日割り計算
旧居は10月分を全額支払う契約
家賃の計算
10月は31日間です。
新居の家賃が16日から31日まで発生する場合、16日分の家賃が必要です。
45,000円 ÷ 31日 × 16日 = 約23,226円
項目 | 金額 |
|---|---|
旧居の10月家賃 | 45,000円 |
新居の10月日割り家賃 | 約23,226円 |
10月分の家賃合計 | 約68,226円 |
通常の1か月分との差額 | 約23,226円 |
※端数処理や日割り計算方法は契約によって異なります。
この例では、通常の家賃45,000円に比べて、10月は約23,226円多く支払う計算になります。
しかし、この68,226円すべてが住宅扶助として認定されるかどうかは、金額だけで決まりません。
福祉事務所が、転居の必要性、賃料発生期間、契約内容、制度上の基準などを確認して判断します。
■新居の家賃が1か月分必要な場合はどうなる?
賃貸物件によっては、契約開始月の日割り家賃だけでなく、翌月の前家賃も初期費用として請求される場合があります。
例えば、次のような見積書です。
項目 | 金額例 |
|---|---|
10月16日〜31日の日割り家賃 | 約23,226円 |
11月分の前家賃 | 45,000円 |
初期費用として請求される家賃 | 約68,226円 |
この場合、約68,226円を契約時に支払う必要があるとしても、すべてが10月分の家賃というわけではありません。
10月の日割り家賃と11月の前家賃を区別する必要があります。
前家賃と二重家賃は違う
項目 | 意味 |
|---|---|
二重家賃 | 旧居・新居で賃料の発生期間が重なること |
日割り家賃 | 月の途中の契約開始・終了などに伴う賃料 |
前家賃 | 翌月分などの家賃を先に支払うこと |
初期費用 | 敷金・礼金・保証料・前家賃など契約時の費用 |
つまり、契約時に家賃が2か月分近く請求されても、それがすべて二重家賃によるものとは限りません。
福祉事務所に提出する見積書では、何月分の家賃なのかを明確にしておくことが大切です。
■旧居の解約予告が1か月前ならどうする?
賃貸契約では、退去希望日の1か月前や2か月前などに、解約を申し出る条件が設けられている場合があります。
例えば、
旧居の解約予告:1か月前
退去希望日:11月30日
という契約です。
この場合、契約内容に従い、原則として10月31日までに解約の申出が必要になると考えられます。
ただし、解約予告期間の数え方や受付方法、月末解約の条件は契約によって異なります。
先に旧居を解約しても大丈夫?
新居がまだ決まっていない段階で、旧居の解約日を確定することにはリスクがあります。
例えば、
旧居の解約を申し出る
新居へ入居申込みを行う
保証会社の審査が不承認になる
別の物件を探す必要が生じる
旧居の契約終了日が近づく
というケースです。
解約通知を撤回できるかどうかは、貸主・管理会社の判断や契約上の条件によります。
そのため、新居の審査・福祉事務所の確認・契約開始日を調整せずに、旧居を先に解約することは避けたいところです。
逆に、旧居の解約通知を遅らせると、家賃の重複期間が長くなる可能性があります。
新旧の管理会社とケースワーカーへ、早い段階で予定を共有することが重要です。
■二重家賃を抑えるために契約開始日は変更できる?
貸主や管理会社が認める場合、契約開始日の調整を相談できることがあります。
ただし、すべての賃貸物件で入居希望日まで家賃発生日を待ってもらえるわけではありません。
例えば、空室になっている物件では、貸主が早期の契約開始を希望する場合があります。
調整できる可能性がある項目
項目 | 確認内容 |
|---|---|
契約開始日 | いつから契約を始めるか |
賃料発生日 | いつから家賃が発生するか |
鍵渡し日 | いつから入室できるか |
引っ越し日 | いつ荷物を運ぶか |
旧居の解約日 | 契約終了をいつにできるか |
日割り計算 | 暦日計算か30日計算かなど |
フリーレント | 免除期間を設定できるか |
契約開始日を遅くする例
当初の条件が、
新居の賃料発生日:10月16日
旧居の契約終了日:10月31日
だったとします。
新居の賃料発生日を11月1日に調整できれば、10月中の二重家賃を避けられる可能性があります。
ただし、荷物の搬入日や鍵の受け取り、旧居の明渡しまでのスケジュールが成立するか確認する必要があります。
また、フリーレントがある場合でも、共益費など別の費用が発生することがあります。
家賃の重複を減らすことだけを優先し、引っ越し作業ができない日程にしてしまわないよう注意しましょう。
■生活保護の二重家賃は「必ず自己負担」ではない
生活保護受給中の引っ越しでは、家賃が重複すると必ず自分で支払わなければならないと考える方もいるかもしれません。
しかし、厚生労働省の実施要領には、月の途中でのやむを得ない転居について、転居前後の家賃を認定できる取り扱いがあります。
そのため、
「生活保護だから二重家賃は絶対に認められない」
という説明は正確ではありません。
一方で、
「引っ越しなら二重家賃は全額支給される」
という説明も正確ではありません。
福祉事務所が確認する必要があること
なぜ転居する必要があるのか
旧居の解約予告期間は何日か
旧居の家賃はいつまで発生するか
新居の家賃はいつから発生するか
家賃の重複を避ける調整が可能か
契約上、日割り計算が可能か
住宅扶助の基準額の範囲内か
どのような書類が必要か
厚生労働省の規定は、個別事情に応じて必要額を認定できる取り扱いであり、すべての転居で一律に二重家賃を支給する制度ではありません。
■福祉事務所へ相談するときに必要な書類は?
転居の必要性や家賃の重複期間を説明するため、関係書類を整理しておきましょう。
書類 | 主な確認内容 |
|---|---|
現在の賃貸借契約書 | 家賃・解約予告・契約条件 |
旧居の解約通知・受付記録 | 解約申出日・契約終了日 |
新居の募集図面 | 家賃・共益費・入居条件 |
新居の初期費用見積書 | 日割り家賃・前家賃など |
新居の契約予定日が分かる資料 | 賃料発生日・入居予定日 |
転居理由を説明できる資料 | 必要に応じた事情の確認 |
引っ越し費用見積書 | 運搬費などの確認 |
すべての書類が必ず必要というわけではありません。
担当する福祉事務所から案内された書類を優先してください。
見積書で特に確認したい項目
例えば、見積書に「前家賃90,000円」とだけ書かれていた場合、何月分を含んでいるのか分かりにくいことがあります。
「10月分日割り45,000円・11月分家賃45,000円」など、支払対象期間を分けて記載してもらうと、確認しやすくなります。
また、家賃・共益費・保証料などは異なる費用です。項目をまとめて記載せず、内訳を明確にしましょう。
■旧居と新居で福祉事務所が変わる場合は?
市外・県外への引っ越しでは、担当する福祉事務所が変更になる場合があります。
例えば、さいたま市から東京都内へ転居する場合です。
この場合、現在の福祉事務所と転居先の福祉事務所との間で、保護の実施に関する調整が必要になることがあります。
事前に確認すること
現在の福祉事務所へ転居予定を相談する
転居理由と希望する地域を説明する
転居先の住宅扶助の限度額を確認する
新居の入居審査と必要書類を確認する
旧居・新居の家賃発生期間を整理する
福祉事務所間の引継ぎ方法を確認する
特に、転居先の自治体によって住宅扶助の基準が変わる可能性があります。
現在の家賃と同じ金額だからといって、転居先でも必ず同じ条件で認定されるわけではありません。
市外・県外へ転居する場合の手続きについては、既存記事で詳しく解説しています。
生活保護受給中に市外・県外へ引っ越す場合の手続きを詳しく見る →
■二重家賃を防ぐための引っ越しスケジュール
生活保護受給中の転居では、新居の物件探しから旧居の退去までを一連の流れで考えることが大切です。
手続きの順番
段階 | 行うこと | 特に注意する点 |
|---|---|---|
① 転居相談 | ケースワーカーへ相談 | 転居の必要性・費用 |
② 契約確認 | 旧居の契約書を確認 | 解約予告期間 |
③ 物件探し | 住宅扶助に合う物件を探す | 家賃・付帯費用 |
④ 入居申込み | 管理会社・保証会社の審査 | 希望入居日 |
⑤ 費用確認 | 新居の見積書を取得 | 日割り・前家賃 |
⑥ 日程調整 | 新旧の契約日を比較 | 二重家賃の期間 |
⑦ 福祉事務所確認 | 必要な認定・手続きを確認 | 契約前の確認 |
⑧ 契約・解約 | 新居の契約と旧居の解約 | 書類・期限 |
⑨ 引っ越し | 荷物搬出・搬入 | 鍵渡し・明渡し |
⑩ 精算 | 旧居の退去精算 | 原状回復・敷金 |
注意したいのは、旧居を早く解約することと、新居を早く契約することのバランスです。
新居の審査が終わらないうちに旧居を解約すると、住まいを確保できないリスクがあります。
一方、新居の家賃発生日を早く設定すると、二重家賃が長くなる可能性があります。
不動産会社へは、最初から現在の解約予告期間と希望入居日を伝えておくと、調整しやすくなります。
■生活保護で転居する際、不動産会社へ何を伝えればいい?
物件の問い合わせ段階で、次の内容を伝えておくと、契約日や家賃の調整がしやすくなります。
生活保護を受給していること
担当ケースワーカーと相談していること
現在の家賃と解約予告期間
希望する転居日
新居の住宅扶助の条件
初期費用の見積書が必要なこと
二重家賃が発生する可能性があること
例えば、以下のように相談できます。
「現在、生活保護を受給しています。今の部屋は1か月前の解約予告が必要です。新居の審査が通った場合、家賃が重複しないように契約開始日を相談できる物件を探しています。初期費用の見積書もケースワーカーへ提出する必要があります。」
このように伝えることで、不動産会社も契約開始日の調整が可能か確認しやすくなります。
ただし、貸主・管理会社の契約条件によっては、希望日での調整ができない場合もあります。
■よくある質問(FAQ)
Q1.生活保護で引っ越す場合、二重家賃は支給されますか?
一定の条件を満たす場合、住宅扶助として認定される可能性があります。
厚生労働省の実施要領には、真に必要やむを得ない事情によって月の途中で転居した場合の取り扱いが定められています。ただし、すべての二重家賃が自動的に支給されるわけではありません。
Q2.生活保護では旧居と新居の家賃を2か月分もらえますか?
必ず2か月分が支給されるという制度ではありません。
必要な家賃の額や期間、転居事情、住宅扶助の基準などに基づいて確認されます。
Q3.新居の日割り家賃も住宅扶助の対象になりますか?
住宅扶助の対象となる家賃について、月途中の契約開始に伴う日割り家賃が必要になる場合は、その取り扱いを福祉事務所へ確認できます。
ただし、契約書の内容と認定条件によって判断されます。
Q4.旧居の解約通知を忘れて二重家賃が発生した場合は?
二重家賃が発生した事情について確認が必要です。
解約通知の遅れによって生じた費用が、必ず住宅扶助として認められるとは限りません。早めに管理会社とケースワーカーへ相談してください。
Q5.入居審査に通ったら、すぐ新居を契約してもいいですか?
生活保護の転居費用について認定を希望している場合は、契約や支払いの前に福祉事務所へ確認することが重要です。
入居審査の承認と、住宅扶助・初期費用の支給決定は別の問題です。
■まとめ|生活保護の二重家賃は契約前の調整と福祉事務所への相談が重要
生活保護を受給しながら引っ越す場合、旧居の契約終了日と新居の契約開始日によって、家賃が重なることがあります。
厚生労働省の実施要領では、真に必要やむを得ない事情によって月の途中で転居した場合、一定の範囲で転居前後の家賃を認定できる取り扱いが定められています。
重要なのは次の5点です。
二重家賃が必ず自己負担になるとは限らない
すべての二重家賃が自動的に支給されるわけではない
契約開始日・引っ越し日・契約終了日を区別する
日割り家賃と翌月の前家賃を分けて確認する
新居の契約前にケースワーカーへ相談する
特に、旧居の解約予告期間が1か月前・2か月前などに設定されている場合は、契約開始日の調整が重要です。
生活保護受給中の引っ越しでは、希望する物件を探すだけでなく、旧居と新居の家賃がいつからいつまで発生するかを整理することが、無理のない転居につながります。
住宅扶助、保証会社、賃貸審査、初期費用、転居に必要な手続きなどについては、スマイファミリーの総合ガイドでも解説しています。
■関東で生活保護受給中のお部屋探し・引っ越しをご検討中の方へ
「今の部屋を退去して、住宅扶助の範囲内で引っ越したい」
「旧居と新居の家賃が重なりそうで心配」
「ケースワーカーへ提出する見積書が必要」
「入居審査が通った後に契約開始日を相談したい」
「現在の解約予告期間が長く、引っ越しの時期を決められない」
このような場合は、現在の賃貸借契約と新居の募集条件を整理することが重要です。
スマイファミリーでは、埼玉・東京・千葉・神奈川・茨城・栃木・群馬など、関東で生活保護を受給している方のお部屋探しについてご相談を承っています。
住宅扶助の条件や保証会社、希望する入居日などを確認しながら、条件に合う賃貸物件探しをお手伝いします。
また、旧居の解約予告期間を踏まえ、新居の契約開始日や家賃発生日について管理会社へ確認することもできます。
なお、住宅扶助や二重家賃、初期費用の認定については、担当する福祉事務所の判断が必要です。
生活保護受給中の転居や、旧居と新居の家賃重複でお悩みの方は、スマイファミリーへお気軽にご相談ください。
家族のように寄り添い、暮らしをもっと豊かに。

