
テナントの看板は自由に付けられる?屋外広告物・貸主承諾・撤去費用を契約前に確認
店舗や事務所を開業するとき、物件の立地と同じくらい重要になることがあるのが「看板」です。
特に路面店舗では、
「道路から店名が見えるか」
「どこに看板を付けられるか」
によって、お店の見つけやすさが大きく変わることがあります。
一方、テナントを契約してから、
「外壁には看板を付けられないと言われた」
「袖看板の空きがなかった」
「窓に大きく店名を貼れない」
「市への許可申請が必要だった」
「退去時に看板撤去費がかかる」
と分かるケースも考えられます。
店舗を借りれば、借りた区画の周辺へ自由に広告を出せるわけではありません。
看板には、
・賃貸借契約
・貸主の承諾
・ビルの管理規約
・屋外広告物条例
・景観に関するルール
・道路へのはみ出し
・建物への工事
など複数の確認事項があります。
今回は、東京・埼玉・千葉・栃木・茨城・群馬で店舗・テナント・事業用物件を探している方へ、契約前に確認したい看板のポイントを解説します。
■テナントを借りれば看板は自由に出せる?
基本的には、自由に何でも設置できるとは限りません。
借りているのは賃貸借契約で定められた区画です。
例えば店舗内部は借主が使用できても、
・建物外壁
・共用廊下
・エントランス
・建物屋上
・共用看板
・柱
・敷地入口
などは共用部分や貸主の管理部分となっている場合があります。
そのため、
「自分の店舗の前だから」
という理由だけで外壁へ穴を開けたり、大型看板を固定したりすることは避けましょう。
まず貸主・管理会社へ確認する必要があります。
■屋外広告物とは?
国土交通省では、屋外広告物を、一定期間継続して屋外で公衆に表示される看板、立看板、広告塔、広告板などとしています。
例えば、
・壁面看板
・袖看板
・突出看板
・屋上看板
・自立看板
・立看板
・広告幕
などが対象になる可能性があります。
重要なのは、
「自分の店名を書いた看板だから規制とは関係ない」
とは限らないことです。
店舗自身の名称や営業内容を表示する「自家広告物」であっても、地域・面積などの条件によって扱いが異なります。
■看板には自治体ごとのルールがある
屋外広告物法をもとに、都道府県や政令指定都市、中核市などが条例を定めています。
そのため、東京・埼玉・千葉・栃木・茨城・群馬でも、物件所在地によって確認する条例や窓口が異なります。
例えば埼玉県では、屋外広告物の表示や掲出物件の設置は原則として許可が必要と案内しており、大きさ、高さ、色彩などについて基準があります。
ただし、店舗・事業所の自家広告物については、一定の基準を満たす場合に規制の全部または一部が緩和される場合があります。
つまり、
「店の看板なら全部申請不要」
でも、
「看板は全部必ず申請が必要」
でもありません。
所在地と看板の内容を確認することが必要です。
■さいたま市では県条例と同じ?
同じとは限りません。
埼玉県の案内では、さいたま市、川越市、川口市、越谷市など、一部の市では独自の屋外広告物条例が適用されるとされています。
例えば大宮駅周辺で店舗を借りる場合は、所在地がさいたま市なので、さいたま市のルールを確認することになります。
同じ埼玉県でも、
大宮
川口
川越
春日部
などで確認先や基準が同じとは限りません。
テナント契約前に、
「この場所に、この大きさの看板を付けられるか」
を具体的に確認しましょう。
■「看板設置可」と書いてあれば何でも付けられる?
これも注意が必要です。
募集図面に、
「看板設置可」
「看板スペースあり」
と書かれていても、設置できる看板の種類やサイズが決まっている場合があります。
例えば、
・指定スペースのみ
・指定寸法以内
・既存看板枠を利用
・デザイン事前承認
・照明付き不可
・外壁穴あけ不可
などです。
「看板可」という一言だけではなく、どこに・どれくらい・どうやって設置できるかまで確認しましょう。
■共用看板とは?
テナントビルでは、入口などに入居店舗・会社名をまとめて表示する共用看板があります。
例えば、
1階 飲食店
2階 美容室
3階 事務所
など、テナント名を一覧表示する看板です。
この場合、
・表示スペース
・文字サイズ
・デザイン
・製作会社
などがビル側で決められていることがあります。
入居すると自動的に無料で掲載してもらえるとは限りません。
確認したいのは、
・掲載料
・製作費
・変更費用
・退去時の撤去費
です。
契約時の初期費用に含まれているか確認しましょう。
■袖看板とは?
建物の壁面から道路側へ突き出した形で設置される看板を、一般的に袖看板・突出看板などと呼びます。
ビルの上階へ入居する場合は、道路を歩く人から店舗名を見つけてもらうために重要になることがあります。
しかし、
「ビルに袖看板がある=自分の店舗も使える」
とは限りません。
既存テナントですべて埋まっている場合もあります。
内見時には、
・空きスペースがあるか
・使用料
・製作費
・照明の有無
・設置できるサイズ
を確認しましょう。
■1階路面店でも看板確認は必要
1階の路面店は看板を出しやすそうに見えます。
しかし、
・外壁が共用部分
・ガラス面のみ使用可能
・建物の美観ルールがある
・大型看板は禁止
・指定色がある
といった条件が設定されていることがあります。
特にデザイン性の高いビルや商業施設では、建物全体のイメージを統一するため、看板デザインの審査がある場合もあります。
契約前に看板計画を見せて確認すると安心です。
■窓ガラスに店名を貼るのは自由?
店舗の専有部分にある窓だからといって、必ず自由に全面広告を貼れるとは限りません。
例えば、
・窓面の○%まで
・店名のみ
・内側から貼る
・色の指定
・営業時間のみ表示可能
など、ビルのルールがある場合があります。
また、外部から公衆に表示される広告物については、設置方法や地域によって屋外広告物に関する確認が必要になる可能性があります。
大きなウインドウサインを予定している場合は、契約前にイメージ図を用意して相談しましょう。
■シャッターへ店名を書いていい?
路面店舗にはシャッターが設置されている物件があります。
営業終了後も店名を見せるために、シャッターへロゴなどを入れたい方もいると思います。
しかし、シャッターが貸主設備であれば、借主が自由に塗装することはできない可能性があります。
確認したいのは、
・塗装可能か
・シールのみ可能か
・デザイン承認が必要か
・退去時に元へ戻すか
です。
塗装後に元へ戻す場合、大きな費用になる可能性もあります。
■置き看板なら自由?
店舗入口へ、
・A型看板
・メニューボード
・のぼり
などを置きたい場合もあります。
ここでも注意が必要です。
自分の店舗前に見えても、実際には共用通路である場合があります。
さらに道路上へ置くことは、通行の妨げになる可能性があります。
「毎日営業中だけ出すから大丈夫」
と自己判断せず、管理会社や行政上のルールを確認しましょう。
■道路にはみ出してはいけない?
建物の敷地と道路の境界は、見た目だけでは分かりにくい場合があります。
看板、商品棚、メニュー看板などを店舗前に置いた結果、道路側へはみ出してしまうことがあります。
道路は店舗の敷地ではありません。
看板設置場所を考える場合は、
・敷地境界
・歩道
・共用通路
を確認しましょう。
歩行者や自転車の通行を妨げないことも重要です。
■のぼり旗も確認する
店舗前にのぼり旗を設置する業種もあります。
例えば、
・不動産
・飲食店
・販売店
・クリニック
・買取店
などです。
のぼりも屋外で公衆に表示される広告物として扱われる場合があります。
また、風で倒れたり道路へ飛び出したりすると危険です。
設置場所、固定方法、管理規約を確認しましょう。
■LED看板・デジタルサイネージの場合
近年は、
・LED看板
・電子看板
・デジタルサイネージ
を使用する店舗も増えています。
光る看板は目立ちやすい一方、周辺住宅や道路への影響も考える必要があります。
埼玉県では、LEDを利用する電光式屋外広告物について、周辺の生活環境や交通信号機の視認性などへの影響を防ぐためのガイドラインを設けています。
特に夜間営業する店舗では、
・明るさ
・点滅
・表示時間
・周囲の住宅
なども考えましょう。
■夜中も看板照明を付けていい?
建物規約や周辺環境によって異なります。
住宅が近い場所で強い照明を夜間ずっと点灯すると、近隣から相談が入る可能性があります。
また看板照明を追加する場合は、
・電源
・配線
・タイマー
・工事方法
も必要です。
前回の記事で解説した「電気容量」とは別に、看板用の電源工事についても確認しましょう。
■看板工事で外壁に穴を開けられる?
大型の看板を固定する場合、外壁へアンカーなどを設置する工事が必要になる場合があります。
しかし外壁は建物そのものです。
そのため、
「看板業者に頼めば自由に穴を開けられる」
わけではありません。
事前に、
・貸主承諾
・工事方法
・取付位置
・防水処理
・指定業者
などを確認しましょう。
無断で施工すると、退去時や漏水などのトラブルにつながる可能性があります。
■指定看板業者がいることもある
テナントビルや商業施設によっては、看板工事について指定業者が決められている場合があります。
その場合、
「知り合いの業者の方が安いから」
という理由だけで別業者へ依頼できない可能性があります。
看板費用を開業予算へ入れるときは、
・指定業者の有無
・見積もり
・施工可能時期
を早めに確認しましょう。
■看板デザインの承認が必要な場合
貸主・管理会社から、
「施工前にデザインを提出してください」
と言われる場合があります。
確認される内容として、
・店舗名
・ロゴ
・色
・サイズ
・設置位置
・照明
などがあります。
契約締結後にブランドデザインを完成させてから、
「このデザインは不可です」
となると作り直しが必要です。
ブランドイメージが決まっている店舗は、物件を決める前から相談しましょう。
■フランチャイズ店舗は特に確認
フランチャイズでは、本部指定の看板デザインや店舗外観が決まっている場合があります。
例えば、
・ロゴサイズ
・ブランドカラー
・大型袖看板
・照明看板
・窓面デザイン
などです。
物件側の看板制限と、本部の出店基準が合わなければ出店が難しくなる可能性があります。
申込み前に、
「本部指定の看板を設置できるか」
を確認することが重要です。
■美容室・サロンの場合
美容室やサロンでは、落ち着いた外観を重視することがあります。
一方、2階以上のテナントでは、看板が小さすぎると初めて来店するお客様が店舗を見つけにくくなることがあります。
確認したいのは、
・1階入口看板
・共用看板
・袖看板
・窓面表示
・エレベーター内表示
などです。
予約サイトだけに頼らず、現地でお客様が迷わない導線を考えましょう。
■飲食店の場合
飲食店では、
・店舗名
・メニュー
・営業時間
・価格
・料理写真
などを店頭表示したい場合があります。
大きなメニュー看板やA型看板を利用するなら、設置できる場所を確認しましょう。
また、看板だけでなく、
・排気
・におい
・営業時間
・厨房設備
なども契約前に確認する必要があります。
看板だけ条件が良くても、営業設備が合わなければ物件として利用できません。
■クリニックの場合
クリニックでは、患者様が建物を見つけやすいことが重要です。
特に複数のテナントが入るビルの場合は、
・建物入口
・エレベーター前
・各階
・道路側看板
に名称を表示できるか確認しましょう。
診療科目や標榜などについては、広告に関する別の法令・ガイドラインが関係する場合もあるため、業種ごとの規制も確認が必要です。
■事務所だから看板はいらない?
来店型ではない事務所でも、
・会社名
・郵便物
・来客
・取引先
のために建物入口への社名表示が必要になることがあります。
一方、事業内容によっては目立つ看板が不要というケースもあります。
その場合でも、
「会社名を共用看板へ表示しなければならない」
などビル側のルールがある可能性があります。
契約前に確認しましょう。
■看板費用はいくらかかる?
看板費用は、
・大きさ
・素材
・照明
・取付場所
・高所作業
・電気工事
・既存看板撤去
などによって変わります。
そのため、賃料だけで開業予算を考えるのではなく、
物件取得費+内装工事+看板工事
まで含めて考えましょう。
特にビル上部などへの施工では、高所作業費などが必要になる可能性があります。
■前テナントの看板枠を使える?
居抜き物件などでは、前の店舗が使用していた看板枠が残っている場合があります。
その場合、
・枠自体は貸主所有か
・前借主の残置物か
・面板だけ交換できるか
・電気は使えるか
などを確認しましょう。
見た目だけで、
「この枠をそのまま使える」
と判断するのは避けます。
■前テナントの店名が残っていたら?
契約前の内見時に、前店舗の看板がまだ残っていることがあります。
確認したいのは、
誰が撤去するのか
です。
貸主が引渡しまでに撤去するのか、次の借主が撤去費用を負担するのかによって開業費用が変わります。
既存看板の撤去が条件なら、見積もりを確認しておきましょう。
■看板には点検・管理も必要
看板は設置して終わりではありません。
屋外に設置された看板は、
・雨
・風
・紫外線
・腐食
などによって劣化します。
埼玉県では、屋外広告物の設置者・管理者などについて、一部を除き3年を超えない期間ごとの点検義務を設けています。許可が必要な広告物については、許可申請前3か月以内の点検結果を添付する仕組みもあります。
落下事故などを防ぐためにも、日常的に状態を確認しましょう。
■古い看板をそのまま使う場合も確認
既存の袖看板や看板枠をそのまま利用できれば、工事費を抑えられる可能性があります。
ただし、
・固定部分の腐食
・照明故障
・配線劣化
・看板枠のぐらつき
などがないか確認しましょう。
看板が落下すれば大きな事故につながる可能性があります。
費用だけで判断しないことが重要です。
■退去するとき看板はどうする?
テナントを退去するときは、自分で設置した看板の撤去を求められることがあります。
例えば、
・外壁看板
・袖看板面板
・窓面シート
・入口サイン
・照明
・看板用配線
などです。
さらに、
・ビス穴を補修
・外壁を復旧
・塗装を戻す
など、設置前の状態へ戻す必要がある可能性があります。
契約前に原状回復条件を確認しましょう。
■「次のテナントも使えるから残していい」は自己判断しない
まだきれいな看板枠などを見ると、
「次の入居者が使うかもしれないから残しておこう」
と思うことがあります。
しかし、貸主の承諾なく残置することは避けましょう。
撤去義務がある契約で残した場合、貸主側で撤去し、その費用を請求される可能性があります。
退去時には管理会社の指示を確認します。
■屋外広告物の許可が切れたら?
許可を受けている看板では、許可期間や更新手続きが設定されている場合があります。
埼玉県では、表示の必要がなくなった場合や許可期間満了時などについて、一定のルールに基づく除却が必要とされています。
店舗営業中は問題なくても、
・更新を忘れる
・店舗を閉店する
・看板を変更する
場合には手続きが必要になることがあります。
詳しくは所在地の自治体へ確認しましょう。
■看板業者なら誰に頼んでもいい?
地域によっては、屋外広告業を営む事業者に登録制度があります。
埼玉県でも屋外広告業を営むには登録が必要で、さいたま市などではそれぞれ市への登録が必要とされています。県は広告主に対して、登録された屋外広告業者へ依頼するよう案内しています。
施工費だけではなく、
・登録状況
・安全管理
・施工実績
なども確認しましょう。
■契約前に看板イメージを作る
店舗の出店では、物件契約後に看板を考え始めるのではなく、
「ここへ何を出したいか」
を契約前に決めておくと確認しやすくなります。
例えば、
・外壁へ横長看板
・袖看板
・入口へロゴ
・ガラスへ店名
・A型看板
などです。
簡単なイメージ図でも構いません。
貸主や管理会社へ見せて、
「この設置は可能ですか?」
と確認しましょう。
■テナント内見で看板について確認すること
内見時には、室内だけでなく建物外側も確認しましょう。
・看板を出せる場所
・袖看板の空き
・共用看板
・道路からの見え方
・窓面
・入口
・外壁
・電源
・既存看板
・夜間の視認性
・他テナントの看板
などです。
可能なら、実際に道路の反対側まで移動して建物を見てみましょう。
「店舗前に立ったときは見えるが、歩いている人からは全く分からない」ということもあります。
■物件の立地と看板をセットで考える
看板を大きく出せる物件でも、そもそも人通りが少なければ期待した効果が得られない場合があります。
反対に、
・駅前
・交差点
・商店街
・人通りの多い道路
などでは、小さな看板でも十分見つけてもらえることがあります。
物件選びでは、
立地+視認性+看板条件
をセットで考えましょう。
■看板を出せない物件でも営業できる?
業種によっては可能です。
例えば完全予約制のサロンや事務所などでは、大きな看板を必要としない場合があります。
一方、
・飲食店
・物販
・クリニック
など、現地で店舗を見つけてもらう必要がある業種では、看板条件が重要になることがあります。
自分の集客方法に合わせて判断しましょう。
■契約前に確認したいチェック項目
テナントを契約する前に、看板について次の内容を確認しておきましょう。
・看板設置が可能か
・設置できる場所
・大きさ
・袖看板の利用可否
・共用看板の利用可否
・窓面広告
・置き看板
・看板照明
・貸主承諾
・管理規約
・行政上の許可
・看板業者の指定
・設置工事費
・月額使用料
・電気代
・点検、管理
・退去時の撤去
・原状回復費用
看板を重要な集客手段として考えている店舗ほど、契約前の確認が重要です。
■東京・埼玉・千葉・栃木・茨城・群馬でテナントをお探しの方へ
スマイファミリー大宮店では、東京・埼玉・千葉・栃木・茨城・群馬で、店舗・テナント・事業用・事務所・オフィスなどの物件探しについてご相談を承っています。
「路面店舗を探したい」
「袖看板を出せるビルがいい」
「看板が道路から見える物件を探したい」
「フランチャイズ指定の看板を設置したい」
「窓面へ大きく店名を出したい」
「契約前に看板業者と現地確認したい」
このような場合も、家賃、広さ、設備だけでなく、看板スペースや視認性などを確認しながら物件をお探しします。
テナントでは、
「店舗として借りられること」と「希望する看板を出せること」は別です。
気に入った物件を契約した後で、
「予定していた看板を付けられない」
と分かることを避けるためにも、出店時の看板イメージまで伝えたうえで確認することが大切です。
また、屋外広告物の具体的な許可基準は物件所在地によって異なります。
東京・埼玉・千葉・栃木・茨城・群馬で店舗・テナントを探す場合は、貸主の承諾だけでなく、所在地の自治体ルールも確認しながら進めましょう。
