
テナント契約の保証金・敷金・償却とは?退去時の返還と確認事項を解説
店舗や事務所などのテナントを借りる際は、保証金や敷金として、まとまった金額を求められることがあります。
その際、「保証金と敷金は何が違う?」「償却された金額は返ってこない?」「退去後、いつ返還される?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
事業用賃貸では、住居用の賃貸物件よりも保証金が高額になることがあります。
また、同じ保証金という名称でも、契約によって金額、償却、返還条件、原状回復費用の精算方法が異なります。
開業時には内装工事費、設備費、仕入れ費用、広告費なども必要になるため、保証金の返還条件まで確認せずに契約すると、資金計画に影響する可能性があります。
今回は、埼玉県で店舗や事務所を借りる方へ、テナント契約における保証金と敷金の役割、償却の意味、退去時の精算、契約前に確認したいポイントを解説します。
■テナント契約の保証金とは?
保証金は、借主が賃貸借契約に基づく債務を履行しない場合などに備えて、貸主へ預ける金銭です。
契約内容によっては、次のような費用が保証金から差し引かれる可能性があります。
・未払いの賃料
・未払いの共益費
・水道光熱費などの未精算金
・原状回復費用
・借主の責任による損害の修繕費
・契約で定められた償却額
・その他、契約上借主が負担する費用
保証金は、契約時に支払った全額が必ず返還されるとは限りません。
返還の条件や控除される費用は、賃貸借契約書で確認する必要があります。
■保証金と敷金の違いは?
事業用物件では、「保証金」と「敷金」の両方の言葉が使われます。
どちらも借主の債務を担保する目的で預ける金銭として扱われることがありますが、名称だけで取り扱いを判断することはできません。
物件や契約によって、次のような違いがあります。
・保証金という名称で預ける
・敷金という名称で預ける
・保証金の一部を償却する
・敷金から一定額を差し引く
・保証金と敷金を別々に設定する
・解約時に原状回復費用を精算する
重要なのは名称ではなく、契約書に記載された返還条件、償却、控除項目、返還時期です。
募集図面だけで判断せず、契約書や重要事項説明書を確認しましょう。
■礼金との違い
礼金は、契約時に貸主へ支払い、原則として返還されない費用です。
一方、保証金や敷金は、契約終了時に未払い賃料や原状回復費用などを精算したうえで、残額が返還される可能性があります。
ただし、保証金や敷金に償却の定めがある場合は、その部分が返還されない可能性があります。
初期費用を確認するときは、次の費用を分けて把握しましょう。
・保証金
・敷金
・礼金
・償却額
・仲介手数料
・前払い賃料
・保証会社の費用
・火災保険料
・鍵交換費用
・看板や内装工事に関する費用
「初期費用の総額」だけでなく、返還される可能性がある費用と、返還されない費用を区別することが大切です。
■保証金の金額はどのように決まる?
保証金の金額は、賃料の数か月分として設定されることがあります。
具体的な月数は、物件の種類、用途、業種、契約条件などによって異なります。
金額を決める際に考慮される可能性がある項目は次のとおりです。
・店舗か事務所か
・飲食店か物販店か
・内装や設備の規模
・原状回復にかかる可能性のある費用
・契約期間
・賃料の金額
・事業内容
・法人か個人事業主か
・事業実績
・保証会社の利用条件
飲食店など、退去時の撤去や修繕に費用がかかる可能性が高い用途では、保証金が高く設定されることがあります。
物件ごとに条件が異なるため、金額だけで比較せず、返還条件もあわせて確認しましょう。
■償却とは?
テナント契約における償却とは、預けた保証金や敷金のうち、契約で定められた金額を返還対象から差し引く取り扱いを指すことがあります。
償却の定め方には、次のような例があります。
・保証金の一定割合
・賃料の一定月数分
・契約時に決めた固定額
・解約時期によって異なる金額
例えば、保証金の一部を償却すると定められている場合、その部分は退去時に返還されない可能性があります。
償却の意味や計算方法は契約によって異なります。
契約前に、次の内容を確認しましょう。
・償却の有無
・償却される金額
・計算の基準となる賃料
・消費税の取り扱い
・償却される時期
・契約期間による違い
・更新後も条件が変わらないか
理解できない記載がある場合は、不動産会社から説明を受けましょう。
■償却と原状回復費用は別に請求される?
償却がある場合でも、原状回復費用がすべて償却額に含まれるとは限りません。
契約によっては、保証金を償却したうえで、原状回復費用を別に精算する場合があります。
反対に、償却の目的や原状回復費用との関係が契約書に定められていることもあります。
確認したい内容は次のとおりです。
・償却額に原状回復費用が含まれるか
・原状回復費用は別途請求されるか
・保証金から差し引かれるか
・保証金を超えた場合は追加請求されるか
・工事業者を貸主が指定するか
・工事範囲を誰が決めるか
・見積書や明細書が交付されるか
「償却があるから、原状回復費用はかからない」と自己判断しないようにしましょう。
■保証金はいつ返還される?
保証金の返還時期は、明け渡し後や原状回復工事の完了後など、契約書に定められていることがあります。
事業用物件では、退去日にその場で返還されるとは限りません。
返還までに、次のような確認や精算が行われる可能性があります。
・鍵の返却
・室内の明け渡し
・残置物の有無
・原状回復工事
・賃料や共益費の未払い
・水道光熱費の精算
・修繕費用の確定
・償却額の計算
・振込先口座の確認
保証金を次の店舗の契約金や設備費に使う予定がある場合は、返還時期によって資金が不足する可能性があります。
新しい物件の支払い時期と、現在の物件から保証金が返還される時期を分けて考えましょう。
■解約予告期間を確認する
テナントを解約する場合は、契約で定められた期間までに解約を申し入れる必要があります。
解約予告期間は、住居用の賃貸借契約と同じとは限りません。
契約によっては、解約日の数か月前までに書面で通知することが定められています。
確認したい内容は次のとおりです。
・解約予告期間
・解約通知の提出方法
・通知書の提出先
・貸主へ到着した日が基準か
・賃料が発生する最終日
・解約予告期間を短縮できるか
・短縮する場合の賃料負担
・定期建物賃貸借契約か
営業を終了した日と、賃料の支払いが終了する日が同じになるとは限りません。
退去を検討し始めた段階で契約書を確認しましょう。
■途中解約の違約金に注意する
契約期間の途中で解約すると、違約金が発生する場合があります。
特に、契約開始から一定期間以内の解約について、短期解約違約金が定められていることがあります。
契約前には、次の内容を確認しましょう。
・契約期間
・中途解約が可能か
・短期解約違約金の有無
・違約金の金額
・解約予告期間
・更新時の条件
・定期建物賃貸借契約の場合の終了条件
事業計画を立てる際は、開業費用だけでなく、予定より早く移転や閉店をする場合の費用も確認しておくことが大切です。
■原状回復の範囲を確認する
テナント契約では、退去時にどの状態まで戻す必要があるかが重要です。
契約によっては、借主が設置した内装、設備、看板などを撤去し、指定された状態へ戻すことが求められます。
主な確認項目は次のとおりです。
・床、壁、天井の取り扱い
・間仕切りの撤去
・照明や空調設備の撤去
・厨房設備の撤去
・給排水設備の処理
・電気容量を変更した場合の復旧
・看板や広告物の撤去
・外壁へ取り付けた設備の撤去
・配線や配管の処理
・廃棄物や残置物の撤去
原状回復の範囲が広いほど、退去時の費用が高くなる可能性があります。
契約時の状態を写真や動画で記録し、引き渡し時の資料を保管しましょう。
■スケルトン返しとは?
店舗物件では、退去時に内装や設備を撤去し、建物の構造部分が見える状態へ戻す「スケルトン返し」が契約条件になっている場合があります。
ただし、どの状態をスケルトンとするかは、物件や契約によって異なります。
次の点を確認しましょう。
・撤去する内装の範囲
・天井や床をどこまで撤去するか
・空調設備を残せるか
・給排水管をどこまで処理するか
・電気設備の復旧方法
・貸主指定業者の有無
・工事完了の期限
・貸主の確認方法
内装工事を始める前に退去時の条件を確認しておくと、撤去方法や設備の選び方を検討しやすくなります。
■保証金から差し引かれる可能性がある費用
退去時には、保証金から複数の費用が差し引かれる可能性があります。
一般的に確認したい費用は次のとおりです。
・未払い賃料
・共益費
・水道光熱費
・原状回復費用
・残置物の撤去費用
・鍵を紛失した場合の費用
・借主が損傷させた部分の修繕費
・償却額
・契約で定められた違約金
どの費用を控除できるかは、契約内容や実際の状況によって異なります。
精算時には、控除された項目と金額が分かる書類を確認しましょう。
■保証金を超える費用が発生する場合
原状回復費用や未払い賃料などの合計が保証金を上回った場合は、差額を追加で請求される可能性があります。
保証金を支払っているからといって、借主の負担がその金額までに限定されるとは限りません。
特に、厨房設備、大型看板、間仕切り、特殊な配線や配管などを設置する場合は、撤去費用も考えておく必要があります。
内装工事を行う前に、次の内容を確認しましょう。
・退去時に撤去が必要な設備
・残せる設備
・貸主の承諾が必要な工事
・工事前に提出する図面
・指定業者の有無
・工事後に原状回復しやすい施工方法
契約時から退去時の費用を見込んでおくことが大切です。
■保証金の金額だけで物件を判断しない
保証金が低い物件は、開業時の初期負担を抑えやすい場合があります。
しかし、保証金が低いという理由だけで物件を決めると、ほかの条件を見落とす可能性があります。
比較したい項目は次のとおりです。
・月額賃料
・共益費
・保証金や敷金
・償却
・礼金
・更新料
・保証会社の費用
・解約予告期間
・短期解約違約金
・原状回復条件
・用途や営業時間の制限
・看板の設置条件
初期費用、毎月の固定費、退去時の費用を分けて比較しましょう。
■保証金の負担を資金計画へ入れる
保証金は、将来返還される可能性があっても、契約期間中は事業資金として自由に使えません。
開業時には、保証金以外にもさまざまな費用が必要です。
・内装工事費
・設備や什器の購入費
・仕入れ費用
・広告宣伝費
・許認可に関する費用
・人件費
・賃料
・水道光熱費
・運転資金
保証金を支払った結果、開業後の運転資金が不足しないように計画しましょう。
融資や補助制度などを利用する場合は、申し込みや入金の時期も確認する必要があります。
■保証金の交渉はできる?
物件によっては、保証金の金額や支払い条件について相談できる場合があります。
ただし、必ず減額されるわけではなく、貸主の判断、事業内容、申込条件などによって異なります。
相談する場合は、次のような資料が役立つ可能性があります。
・事業計画書
・収支計画書
・会社概要
・過去の決算書
・資金計画
・出店実績
・代表者の経歴
・保証会社の審査結果
無理な条件交渉によって物件の申し込みが進まなくなる可能性もあります。
希望条件の優先順位を整理し、不動産会社へ相談しましょう。
■法人契約でも代表者保証を求められる?
法人でテナントを契約する場合でも、保証会社の利用や代表者の連帯保証を求められることがあります。
必要な条件は、貸主や保証会社によって異なります。
法人契約では、次のような書類の提出を求められる可能性があります。
・履歴事項全部証明書
・会社概要
・決算書
・事業計画書
・代表者の本人確認書類
・代表者の収入や資産に関する資料
・印鑑証明書
・許認可に関する資料
新設法人で決算書がない場合は、事業計画や代表者の経歴、自己資金などを確認されることがあります。
申し込み前に必要書類を確認しましょう。
■個人事業主が契約する場合
個人事業主がテナントを借りる場合は、事業内容や収入状況を確認するための書類を求められることがあります。
主な書類は次のとおりです。
・本人確認書類
・確定申告書
・納税証明書
・預金残高が分かる資料
・事業計画書
・開業届
・取引実績が分かる資料
・許認可に関する資料
開業前で実績がない場合は、自己資金や事業計画の内容が確認される可能性があります。
希望物件を見つけてから慌てないよう、事前に準備しておきましょう。
■契約者や事業者が変わる場合
法人名、代表者、事業主などが変わっても、現在の賃貸借契約が自動的に引き継がれるとは限りません。
次のような場合は、貸主や管理会社への相談が必要になる可能性があります。
・個人契約から法人契約へ変更する
・法人名を変更する
・代表者を変更する
・事業を第三者へ譲る
・店舗の運営会社を変更する
・共同経営者を追加する
・契約上の名義人を変更する
無断で契約上の地位や店舗の使用を第三者へ移すと、契約上の問題になる可能性があります。
変更を決める前に、必要な審査や契約手続きを確認しましょう。
■保証金の返還先を確認する
退去時には、保証金の返還先となる口座を確認します。
法人名や代表者が変わっている場合、契約者名義と振込先名義が一致せず、確認に時間がかかる可能性があります。
次の情報を整理しましょう。
・契約者名
・現在の法人名
・代表者名
・返還先口座
・法人名変更の履歴
・契約上の地位を承継した資料
・貸主や管理会社へ提出した変更届
契約期間中に情報が変わった場合は、その都度、必要な届け出を行うことが大切です。
■内装工事を始める前に契約条件を確認する
テナントでは、契約後すぐに内装工事を始めたいと考える方も多いでしょう。
しかし、工事内容によっては、貸主や管理会社の事前承諾が必要です。
着工前に確認したい項目は次のとおりです。
・工事申請の方法
・提出する図面
・工事可能な曜日や時間
・指定業者の有無
・搬入経路
・共用部分の養生
・看板の設置場所
・電気、ガス、水道の容量
・消防設備への影響
・退去時の撤去範囲
承諾を受けずに工事を行うと、工事のやり直しや撤去を求められる可能性があります。
契約書と工事規則を確認してから進めましょう。
■許認可を確認してから契約する
希望する業種によっては、営業に必要な許可や届出があります。
物件を契約できても、希望する事業を必ず営業できるとは限りません。
契約前には、次の内容を確認しましょう。
・契約上の使用目的
・用途地域などの制限
・建物の用途
・消防設備
・給排水設備
・電気やガスの容量
・保健所などへの相談
・管理規約
・営業時間の制限
・騒音やにおいに関する条件
必要に応じて行政窓口や専門家へ相談し、営業できる見込みを確認してから契約を進めることが重要です。
■契約前に確認するチェック項目
テナント契約を結ぶ前に、保証金や退去時の精算について確認しましょう。
・保証金または敷金の金額
・保証金の計算方法
・償却の有無
・償却額や割合
・保証金の返還時期
・控除される費用
・原状回復費用との関係
・解約予告期間
・短期解約違約金
・原状回復の範囲
・スケルトン返しの有無
・貸主指定業者の有無
・契約名義を変更する場合の手続き
・返還先口座の条件
口頭で説明を受けた内容についても、契約書の記載と一致しているか確認しましょう。
分からない点を残したまま契約せず、契約前に質問することが大切です。
■埼玉県で店舗・事務所をお探しの方へ
スマイファミリー大宮店では、大宮を中心に埼玉県内の店舗・事務所など、事業用物件についてご相談を承っています。
「保証金と敷金の条件を比較したい」
「償却後にいくら返還される可能性があるか確認したい」
「初期費用を含めた資金計画を立てたい」
「希望する業種で利用できる物件を探したい」
「解約予告や退去時の条件を確認したい」
「個人事業主や新設法人でも申し込める物件を探したい」
このような場合も、賃料、保証金、償却、保証会社、使用目的、内装工事、退去時の条件などを確認しながら、物件選びを進めます。
テナント契約では、入居時に必要な金額だけでなく、契約期間中の固定費や退去時の負担まで確認することが大切です。
埼玉県で店舗・事務所探し、保証金、敷金、償却、事業用賃貸の契約条件についてお悩みの方は、スマイファミリー大宮店へお気軽にご相談ください。