
埼玉で飲食店向けテナントを借りるには?重飲食・設備・許可の確認点
飲食店を開業するためにテナントを探すときは、立地、賃料、広さだけで物件を決めることはできません。
見た目が希望に合う店舗でも、予定している料理や調理方法が認められない場合があります。
また、貸主から飲食店としての使用を承諾されても、電気、ガス、給排水、排気などの設備が不足していると、多額の工事費が必要になる可能性があります。
「以前も飲食店だったから営業できる」「居抜きで厨房設備が残っているから、そのまま開業できる」とは限りません。
予定する業態、営業時間、調理方法、必要な設備などを具体的に整理し、貸主、管理会社、内装業者、保健所、消防署などへ事前に確認することが大切です。
今回は、埼玉県で飲食店向けのテナントを探している方へ、軽飲食と重飲食の考え方、設備容量、排気ダクト、営業許可、内装工事、契約前に確認したいポイントを解説します。
■飲食店向けテナントとは?
飲食店向けテナントとは、店舗内で調理や飲食物の提供を行う事業に使用できる物件です。
ただし、「飲食店可」と記載されていても、すべての飲食業態が認められるわけではありません。
物件によっては、次のような条件が設定されています。
・軽飲食のみ相談可能
・重飲食は不可
・カフェや喫茶店のみ可能
・においや煙の少ない業態に限る
・アルコールを提供する店舗は相談
・深夜営業は不可
・テイクアウト専門店のみ可能
・既存テナントと同じ業種は不可
・火を使用する調理は不可
物件資料の「飲食可」という表示だけで判断せず、予定している店舗の内容を伝えて確認しましょう。
■軽飲食と重飲食の違い
テナント募集では、「軽飲食」「重飲食」という表現が使われることがあります。
ただし、軽飲食と重飲食について、すべての貸主や管理会社に共通する明確な区分があるわけではありません。
一般的には、煙、油、におい、排気、排水などが周辺へ与える影響を考えて判断されます。
軽飲食として相談されることがある業態には、次のようなものがあります。
・カフェ
・喫茶店
・軽食店
・サンドイッチ店
・焼き菓子店
・調理工程の少ないテイクアウト店
重飲食として扱われる可能性がある業態には、次のようなものがあります。
・焼肉店
・ラーメン店
・中華料理店
・焼き鳥店
・揚げ物を多く扱う店舗
・大量の煙や油を使用する店舗
・強いにおいが発生する店舗
同じ名称の業態でも、調理方法や設備によって判断が変わる場合があります。
「カフェだから軽飲食」「テイクアウトだから問題ない」と自己判断せず、実際のメニューと調理内容を伝えましょう。
■業態を具体的に伝える
飲食店向けテナントへ申し込む際は、「飲食店を始めたい」という説明だけでは、貸主や管理会社が使用できるか判断できない場合があります。
事前に、次の内容を整理しましょう。
・提供する料理や飲み物
・主なメニュー
・店内調理の内容
・火を使用するか
・揚げ物や焼き物を行うか
・ガス機器を使用するか
・炭火を使用するか
・アルコールを提供するか
・営業時間
・定休日
・予定する客席数
・テイクアウトや配達の有無
・店舗で発生するにおいや煙
・ごみの量や保管方法
メニュー表、事業計画書、店舗イメージなどを用意すると、具体的に説明しやすくなります。
■前の店舗と同じ業態でも確認が必要
前の借主が飲食店を営業していた物件でも、新しい借主が同じように営業できるとは限りません。
前の店舗が退去した後に、貸主が募集条件を変更している場合があります。
また、同じ飲食店でも、調理内容や営業時間が異なれば、建物や近隣へ与える影響も変わります。
例えば、以前は昼間だけ営業するカフェだった物件で、深夜まで営業する居酒屋を始める場合は、次のような違いが生じます。
・営業時間
・来店客数
・アルコールの提供
・調理時の煙やにおい
・店外での話し声
・ごみの量
・搬入時間
・看板や照明の使用時間
以前の業態だけで判断せず、自分が予定する営業内容で承諾を得ましょう。
■排気ダクトを確認する
飲食店のテナント選びでは、排気ダクトの確認が重要です。
調理によって発生する煙、熱、蒸気、油、においを適切に建物の外へ排出する必要があります。
確認したい内容は次のとおりです。
・既存ダクトの有無
・ダクトの経路
・排気口の位置
・屋上まで立ち上げられるか
・外壁へ穴を開けられるか
・必要な排気量を確保できるか
・近隣の窓や住居との距離
・ダクト清掃の方法
・排気設備の所有者
・故障時の修理負担
排気口の位置が近隣住居の窓や店舗入口に近い場合は、においや煙をめぐるトラブルにつながる可能性があります。
ダクトが残っていても、希望する厨房設備に必要な能力があるとは限りません。
内装業者や厨房設備業者へ現地を確認してもらいましょう。
■電気容量と動力電源を確認する
飲食店では、冷蔵庫、冷凍庫、製氷機、食器洗浄機、空調、厨房機器など、多くの電気設備を使用します。
既存の電気容量が不足していると、複数の機器を同時に使用できない可能性があります。
確認したい項目は次のとおりです。
・現在の契約容量
・電灯の容量
・動力電源の有無
・動力の容量
・分電盤の状態
・建物全体で増設できる容量
・電気工事の可否
・メーターの位置
・工事費用
・退去時の復旧条件
建物全体の受電容量に余裕がない場合は、希望する容量まで増設できないことがあります。
厨房機器の一覧と必要電力を整理し、契約前に確認しましょう。
■ガスの種類と容量を確認する
ガスを使用する厨房機器を設置する場合は、ガス設備の確認も必要です。
ガス管が室内まで引き込まれていても、希望する厨房機器に必要な容量を確保できるとは限りません。
主な確認項目は次のとおりです。
・都市ガスかプロパンガスか
・ガス管の口径
・現在の供給容量
・使用予定のガス機器
・容量を増やせるか
・配管工事を行えるか
・ガスメーターの位置
・安全設備
・工事費用
・指定業者の有無
強い火力が必要な業態では、ガス容量が物件選びに大きく影響します。
契約後に容量不足が分かると、予定していたメニューや厨房機器を変更しなければならない可能性があります。
■給排水設備を確認する
飲食店では、調理、食器洗浄、清掃などで多くの水を使用します。
給水設備だけでなく、排水設備の位置、口径、勾配なども確認が必要です。
確認したい内容は次のとおりです。
・給水管の位置と口径
・排水管の位置と口径
・排水経路
・排水勾配を確保できるか
・厨房を設置できる位置
・床を上げる必要があるか
・グリストラップの有無
・給湯設備の能力
・漏水対策
・配管工事の可否
希望する位置へ厨房を設置できない場合や、排水勾配を確保するために床上げ工事が必要になる場合があります。
特に、上階にある店舗や地下店舗では、排水方法を慎重に確認しましょう。
■グリストラップとは?
グリストラップは、厨房から出る排水に含まれる油脂やごみを分離し、排水管へ流れにくくする設備です。
業態や設備条件によって、設置が必要になる場合があります。
既存のグリストラップがある場合は、次の内容を確認しましょう。
・容量が営業内容に合っているか
・正常に使用できるか
・清掃状況
・清掃する場所
・ふたの開閉ができるか
・においが漏れていないか
・定期清掃の費用
・故障や詰まりの修理負担
適切に清掃しないと、悪臭、排水管の詰まり、害虫などの原因になる可能性があります。
既存設備があるという理由だけで安心せず、状態と管理方法を確認しましょう。
■空調設備を確認する
飲食店の厨房や客席では、調理機器、照明、来店客などによって室温が上がりやすくなります。
既存の空調設備が残っていても、店舗の広さや使用状況に合う能力があるとは限りません。
主な確認項目は次のとおりです。
・空調設備の種類
・設置されている台数
・冷暖房能力
・製造年
・動作状況
・所有者
・修理や交換の負担
・室外機の設置場所
・空調を増設できるか
・退去時の撤去義務
居抜き物件では、空調設備が造作に含まれるのか、貸主の設備なのかも確認しましょう。
設備の扱いによって、故障時の修理負担が変わる可能性があります。
■におい・煙・騒音への対策
飲食店では、店内設備だけでなく、周辺への影響も確認する必要があります。
物件の上階や隣に住居がある場合は、におい、煙、話し声、音楽、厨房機器の振動などが問題になる可能性があります。
確認したい内容は次のとおりです。
・建物内に住居があるか
・隣接する建物との距離
・排気口の位置
・厨房設備の振動
・室外機の音
・営業時間
・深夜の来店客の話し声
・搬入やごみ回収の時間
・音楽の使用
・防音工事の可否
貸主から営業を認められていても、近隣への配慮が不要になるわけではありません。
開業後のトラブルを防ぐため、周辺環境も現地で確認しましょう。
■ごみの保管場所と回収方法
飲食店から出るごみは、住居用のごみ集積所へ自由に出せるとは限りません。
事業系ごみとして、事業者の責任で適切に処理する必要があります。
テナントを借りる前に、次の内容を確認しましょう。
・店内でごみを保管する場所
・建物内のごみ置き場
・ごみ置き場を利用できる時間
・指定されている回収業者
・回収頻度
・回収費用
・生ごみのにおい対策
・使用済み油の処理方法
・段ボールや瓶、缶の処理
・ごみ回収車が停車できる場所
ごみ置き場が狭い場合や、回収日が少ない場合は、営業に支障が出る可能性があります。
■営業時間を確認する
テナント物件では、建物の管理規約や賃貸借契約によって、営業時間が制限される場合があります。
深夜営業を予定している場合は、特に確認が必要です。
確認したい項目は次のとおりです。
・営業できる時間
・定休日に関するルール
・共用入口の開閉時間
・エレベーターの利用時間
・空調設備を使用できる時間
・搬入できる時間
・ごみ出しの時間
・看板照明を使用できる時間
・警備システムの設定
・時間外利用にかかる費用
営業時間の制限によって、想定していた売上計画を変更しなければならない場合があります。
申し込み前に、希望する営業時間を伝えましょう。
■看板を設置できるか確認する
飲食店では、通行人から店舗の場所や業態が分かる看板が重要です。
ただし、外壁、窓、入口などへ自由に看板を設置できるとは限りません。
確認したい内容は次のとおりです。
・看板を設置できる場所
・看板の大きさ
・使用できる色
・照明の有無
・袖看板を使用できるか
・窓へ表示できる範囲
・共用看板の使用料
・貸主や管理会社の承諾
・設置工事の方法
・退去時の撤去と復旧
物件自体が通りから見えにくい場合は、希望する位置へ看板を設置できるかが集客に影響します。
契約前に看板の完成イメージを作り、相談するとよいでしょう。
■飲食店営業の許可を確認する
飲食店を営業する場合は、営業内容に応じて保健所への許可申請や届出が必要です。
必要な設備や施設基準を満たさなければ、営業許可を取得できない可能性があります。
一般的には、次のような内容が確認されます。
・厨房の構造
・手洗い設備
・洗浄設備
・給湯設備
・食品の保管設備
・冷蔵・冷凍設備
・防虫や防そ対策
・床や壁の材質
・トイレ
・清掃用具の保管場所
必要な基準は、営業内容や施設によって異なります。
内装工事を始めてから設備不足が分かると、追加工事が必要になる可能性があります。
図面を作成する段階で、物件所在地を担当する保健所へ相談しましょう。
■消防署への確認も必要
飲食店の開業やテナントの内装工事では、消防署への届出や消防設備の確認が必要になる場合があります。
主な確認事項には、次のようなものがあります。
・店舗の使用開始に関する届出
・内装工事に関する届出
・消火器
・自動火災報知設備
・誘導灯
・避難経路
・非常口
・厨房設備
・防炎物品
・収容人数
内装や間仕切りを変更することで、必要となる消防設備が変わる場合があります。
契約後ではなく、計画段階で管轄の消防署や消防設備業者へ確認しましょう。
■そのほかの許可や届出
飲食店の営業内容によっては、保健所や消防署以外への許可申請や届出が必要になることがあります。
例えば、次のような内容です。
・深夜に酒類を提供する営業
・酒類の販売
・屋外広告物
・道路を使用する看板や設備
・音楽や接待を伴う営業
・一定規模以上の改装
・建物の用途変更
必要な手続きは、店舗の業態、営業時間、建物、設備などによって異なります。
物件を契約すれば自動的にすべての営業が認められるわけではありません。
予定する営業内容を整理し、関係する行政機関や専門家へ確認しましょう。
■内装工事は貸主の承諾を受ける
飲食店向けテナントを借りても、借主の判断だけで自由に内装や設備を変更できるとは限りません。
工事前に、貸主や管理会社へ図面や工事内容を提出し、承諾を受ける場合があります。
事前確認が必要となる主な工事は次のとおりです。
・壁や床への穴あけ
・間仕切りの設置
・厨房設備の設置
・給排水工事
・ガス工事
・電気容量の変更
・排気ダクトの設置
・空調設備の増設
・防水工事
・看板工事
建物によっては、指定された工事業者を利用する条件があります。
工事可能な時間、共用部分の養生、資材の搬入経路、工事車両の駐車場所なども確認しましょう。
■工事業者と一緒に内見する
飲食店向けテナントでは、一般的な内見だけで設備条件を判断することが難しい場合があります。
候補物件が絞れたら、内装業者、厨房設備業者、電気業者などと一緒に現地を確認する方法があります。
現地調査では、次の内容を確認します。
・希望するレイアウトを実現できるか
・厨房設備を設置できるか
・必要な設備容量があるか
・ダクトを設置できるか
・給排水経路を確保できるか
・室外機を設置できるか
・防水や防音工事が必要か
・工事費の概算
・工事に必要な期間
契約前に調査できるか、不動産会社へ相談しましょう。
■居抜き設備の所有者を確認する
居抜きの飲食店では、厨房機器、空調、カウンター、照明などが残っている場合があります。
ただし、残されているものがすべて貸主の設備とは限りません。
前の借主から引き継ぐ造作や残置物として扱われる場合があります。
確認したい内容は次のとおりです。
・設備の所有者
・造作譲渡料
・正常に動作するか
・故障時の修理負担
・交換や処分の負担
・リース契約が残っていないか
・退去時に撤去する必要があるか
・次の借主へ譲渡できるか
残置物は、故障しても貸主が修理しない契約になっている可能性があります。
設備ごとの扱いを書面で確認しましょう。
■契約開始日と工事期間を確認する
テナント契約では、契約開始後すぐに営業できるとは限りません。
内装工事、設備工事、検査、許可申請などが必要なため、営業開始まで賃料だけが発生する期間が生じることがあります。
確認したい日程は次のとおりです。
・契約開始日
・鍵の引渡し日
・工事を開始できる日
・工事期間
・保健所の検査予定日
・消防関係の確認日
・営業許可を取得する予定日
・開店予定日
・賃料が発生する日
・フリーレントの対象期間
フリーレントが設定されている場合も、共益費や管理費などは支払いが必要になる可能性があります。
対象となる費用と期間を確認しましょう。
■開業できなかった場合の条件を確認する
物件を契約した後に、希望する許可を取得できない、必要な工事ができないなどの問題が判明しても、契約を無条件で取り消せるとは限りません。
契約前に、次の内容を確認しましょう。
・予定する業態が契約上認められているか
・必要な設備工事を行えるか
・許認可に関する条件
・許可を取得できない場合の取り扱い
・契約を解約できる条件
・支払済み費用の返金
・工事費用の負担
・原状回復義務
・短期解約違約金
必要に応じて、許認可や工事の確認が取れることを契約条件にできるか相談する方法もあります。
重要な条件は、口頭だけでなく書面で確認しましょう。
■飲食店テナントの初期費用
飲食店向けテナントでは、賃貸借契約に必要な費用に加えて、開業準備にも多額の費用がかかる可能性があります。
賃貸借契約に関する主な費用は次のとおりです。
・保証金または敷金
・礼金
・前家賃
・共益費
・仲介手数料
・保証会社の利用料
・火災保険料
・看板使用料
開業準備に関する主な費用は次のとおりです。
・内装工事費
・厨房設備費
・電気工事費
・ガス工事費
・給排水工事費
・排気ダクト工事費
・空調工事費
・消防設備工事費
・看板工事費
・什器や備品の購入費
・許可申請や専門家への依頼費用
賃料や初期費用だけでなく、営業を開始できる状態にするまでの総額を確認しましょう。
■退去時の原状回復を確認する
飲食店のテナント契約では、退去時に内装や設備を撤去し、スケルトン状態へ戻す条件が設定されることがあります。
居抜きで借りた物件でも、居抜きのまま返せるとは限りません。
契約前に、次の内容を確認しましょう。
・入居時の引渡し状態
・退去時の返還状態
・スケルトン返しが必要か
・既存設備も撤去するのか
・厨房設備の撤去
・ダクトや配管の撤去
・グリストラップの撤去
・看板の撤去
・指定工事業者の有無
・工事を完了する期限
開業時の工事費だけでなく、将来の撤去費用も資金計画へ含めることが大切です。
■契約前のチェック項目
飲食店向けテナントを契約する前に、次の内容を確認しましょう。
・予定する業態で使用できるか
・軽飲食または重飲食の取り扱い
・営業時間
・アルコール提供の可否
・深夜営業の可否
・電気と動力の容量
・ガスの種類と容量
・給排水設備
・排気ダクト
・グリストラップ
・空調設備
・ごみの保管と回収
・看板の設置
・内装工事の範囲
・指定工事業者
・保健所や消防署への確認
・契約開始日と賃料発生日
・退去時の原状回復
・保証金の償却
・解約予告期間
不明な項目がある場合は、契約後ではなく、申し込み前に確認しましょう。
■埼玉県で飲食店向けテナントをお探しの方へ
スマイファミリー大宮店では、大宮を中心に埼玉県内の店舗、事務所、倉庫など、事業用物件についてご相談を承っています。
「飲食店を開業できる物件を探したい」
「重飲食に対応できる店舗を探したい」
「居抜きとスケルトンのどちらがよいか迷っている」
「排気ダクトや給排水設備を確認したい」
「内装業者と一緒に物件を見たい」
「開業時期に合うテナントを探したい」
このような場合も、予定する業態、メニュー、営業時間、必要な設備、開業時期、予算などを確認しながら物件をお探しします。
飲食店向けテナントは、賃料や立地だけで判断すると、契約後に必要な工事ができない、営業許可に必要な設備を設置できないといった問題が生じる可能性があります。
物件を申し込む前に事業内容を具体的に伝え、貸主や管理会社、内装業者、関係機関へ確認することが大切です。
埼玉県で飲食店向けの店舗物件やテナントをお探しの方は、スマイファミリー大宮店へお気軽にご相談ください。
