
埼玉の賃貸で家賃値上げ通知が届いたら?拒否すると退去になるのかを解説
食料品や光熱費だけでなく、賃貸住宅の家賃についても値上げが気になる状況が続いています。
総務省統計局が公表した2026年7月分の全国消費者物価指数では、民営家賃が前年同月比0.7%上昇しました。
埼玉県内の賃貸住宅に住んでいる方のなかにも、貸主や管理会社から家賃の値上げを知らせる書面が届き、不安を感じている方がいらっしゃるかもしれません。
「家賃の値上げには必ず応じなければならない?」
「断ったら更新してもらえない?」
「値上げ後の金額を支払わないと家賃滞納になる?」
結論からお伝えすると、貸主や管理会社から提示された金額が、通知を受け取っただけでそのまま確定するとは限りません。
家賃の値上げについて合意できない場合は、値上げの理由や金額を確認し、貸主側と協議することになります。
ただし、「納得できないから」といって通知を無視したり、家賃の支払い自体を止めたりするのは避けましょう。
今回は、埼玉県内の賃貸住宅で家賃値上げの通知を受け取った方へ、値上げが認められる可能性がある事情、拒否した場合の契約、交渉方法、更新時の注意点を解説します。
■家賃の値上げは自由にできる?
賃貸住宅の家賃は、契約時に貸主と借主の合意によって決められます。
しかし、長期間にわたって契約を続けていると、物価、不動産価格、税負担、周辺の家賃相場などが変わることがあります。
借地借家法第32条では、家賃が不相当になった場合、貸主または借主が将来に向かって家賃の増額や減額を請求できると定められています。
家賃の見直しを検討する事情として、法律上は主に次の内容が挙げられています。
・土地や建物に対する税金などの負担の増減
・土地や建物の価格の上昇または低下
・その他の経済事情の変動
・近隣にある同じような物件の家賃との比較
つまり、貸主が値上げを求めること自体は禁止されていません。
一方で、貸主が希望する金額を知らせれば、その全額が当然に認められるという意味でもありません。
現在の家賃が客観的に不相当になっているか、提示された金額が適正かについて確認する必要があります。
■通知が届いたら自動的に値上げされる?
貸主や管理会社から「翌月から家賃を5,000円値上げします」と通知された場合でも、その通知に記載された金額が直ちに確定するとは限りません。
値上げ額に納得できる場合は、貸主と借主の合意によって新しい家賃が決まります。
納得できない場合は、値上げの理由や金額について協議することになります。
国土交通省の民間賃貸住宅に関する相談対応事例集でも、更新時に貸主から提示された値上げ額について、通知された金額にそのまま拘束されるわけではなく、まず当事者間で協議すると説明されています。
話し合いで決まらない場合は、調停や訴訟によって適正な家賃を判断することがあります。
そのため、通知が届いた時点で慌てて同意書へ署名する必要はありません。
一方的に拒否するだけでもなく、まず通知内容と根拠を確認しましょう。
■家賃値上げの理由として考えられるもの
貸主が家賃の値上げを求める背景には、さまざまな事情があります。
例えば、次のような理由が考えられます。
・固定資産税や都市計画税などの負担が増えた
・建物の維持管理費が上昇した
・修繕工事にかかる費用が増えた
・火災保険などの費用が上昇した
・土地や建物の価格が上がった
・近隣の同種物件に比べて家賃が低くなった
・物価や人件費などの経済事情が変化した
・長期間にわたって家賃を据え置いていた
ただし、「物価が上がっているから」「周辺の家賃が高くなったから」という説明だけでは、借主が値上げ額の妥当性を判断しにくい場合があります。
通知を受け取ったら、値上げの理由と計算根拠について説明を求めましょう。
■まず賃貸借契約書を確認する
家賃値上げの通知が届いたら、最初に現在の賃貸借契約書を確認します。
特に確認したい項目は次のとおりです。
・現在の家賃
・共益費や管理費
・契約期間
・契約の種類
・更新に関する条項
・家賃改定に関する条項
・一定期間値上げしない特約
・更新料
・解約予告期間
・特約事項
借地借家法第32条には、一定期間家賃を増額しないという特約がある場合、その定めに従うことも示されています。
一方、契約書に「更新時に協議する」「経済事情により改定できる」などと書かれていても、貸主が希望する金額へ無条件に変更できるとは限りません。
条項の意味が分からない場合は、管理会社や専門家へ確認しましょう。
■普通借家契約と定期借家契約の違い
家賃値上げの通知を受けたときは、現在の契約が普通借家契約なのか、定期借家契約なのかを確認することが重要です。
普通借家契約では、契約期間が満了しても更新によって契約が継続することが一般的です。
貸主が更新を拒絶したり、解約を申し入れたりするには、正当事由などが必要になります。
一方、定期借家契約は、原則として契約書に記載された期間の満了によって契約が終了します。
引き続き住む場合は、更新ではなく再契約になることがあります。
定期借家契約の再契約時に新しい家賃を提示された場合は、普通借家契約の更新時とは状況が異なる可能性があります。
契約書の表題だけでなく、契約時に受け取った説明書面なども確認しましょう。
■値上げを拒否すると退去になる?
普通借家契約の場合、家賃の値上げに同意しなかったという理由だけで、直ちに退去が決まるとは限りません。
家賃の金額に争いがある場合は、まず貸主と借主で話し合うことになります。
しかし、借主が通知を無視し続けたり、家賃そのものを支払わなくなったりすると、別の問題が発生します。
家賃の未払いが続けば、債務不履行として契約解除や明渡しを求められる可能性があります。
値上げ額に同意できないことと、家賃を支払わなくてよいことは別です。
現在の契約や個別事情を確認しながら、適切と考える家賃を支払い続けることが大切です。
■更新しないと言われた場合
普通借家契約の更新時に、「値上げへ同意しないなら更新できない」と言われることも考えられます。
ただし、普通借家契約では、貸主が更新を拒絶するために正当事由などが必要になります。
貸主から言われただけで、必ず退去しなければならないとは限りません。
一方で、建物の老朽化、貸主が建物を使用する必要性、これまでの契約経過、立退料の提案など、複数の事情が関係する場合があります。
また、定期借家契約では期間満了による終了が原則となるため、対応が異なります。
契約終了や退去を求める通知が届いた場合は、次の内容を確認しましょう。
・普通借家契約か定期借家契約か
・契約満了日
・通知が届いた日
・更新拒絶または契約終了の理由
・退去を求める期限
・立退料などの提案があるか
・内容証明郵便や裁判所の書類ではないか
判断が難しい場合は、書類を保管して弁護士や相談窓口へ確認しましょう。
■値上げに納得できないときの確認事項
提示された家賃に納得できない場合は、感情的に断るのではなく、根拠を確認します。
貸主や管理会社へ、次の内容を尋ねてみましょう。
・値上げを行う具体的な理由
・値上げ額の計算根拠
・周辺のどのような物件と比較したのか
・比較物件の築年数や間取り
・駅からの距離などの条件
・値上げの開始予定日
・共益費なども変更されるか
・段階的な値上げを検討できるか
・契約期間中なのか更新時なのか
・合意書や覚書を作成するか
周辺相場を比較する場合は、同じ市内というだけでなく、駅からの距離、築年数、専有面積、設備、建物構造なども確認する必要があります。
新築物件の募集家賃と、長期間住んでいる中古物件の継続家賃を単純に比較できない場合もあります。
■募集家賃と現在の入居者の家賃は同じではない
賃貸サイトに掲載されている家賃は、新しく入居者を募集するための金額です。
現在住んでいる方の家賃は、過去に締結した賃貸借契約に基づいています。
そのため、同じマンションで空室の募集家賃が高くなっていても、現在の入居者の家賃が自動的に同じ金額へ変更されるわけではありません。
一方で、同じ建物や周辺の同種物件との家賃差は、値上げを検討する際の一つの事情になる可能性があります。
比較するときは、次の違いにも注意しましょう。
・部屋の階数
・方角や日当たり
・角部屋か中部屋か
・専有面積
・設備の新しさ
・リフォームの有無
・契約時期
・敷金や礼金などの募集条件
・フリーレントの有無
掲載されている家賃だけを見て、値上げが妥当または不当だと即断しないことが大切です。
■家賃交渉ではどのように伝える?
値上げに同意できない場合は、電話だけでなく、メールや書面など記録が残る方法で伝えると安心です。
例えば、次のように回答できます。
「家賃改定のご連絡を確認しました。今後も現在の住居で契約を継続したいと考えておりますが、現時点では提示された金額への同意を判断できません。値上げの理由、金額の算定根拠、近隣の比較物件などについて、書面またはメールでご説明いただけますでしょうか。内容を確認したうえで協議をお願いしたいと考えております。」
重要なのは、連絡を無視せず、現在の住居を継続したい意思と、根拠を確認したいことを冷静に伝えることです。
最初から「絶対に払わない」「違法だ」と決めつけると、話し合いが難しくなる可能性があります。
■交渉できる内容
家賃の値上げについて、受け入れるか拒否するかの二択とは限りません。
状況によっては、次のような条件を相談できる可能性があります。
・値上げ額を小さくする
・値上げの開始時期を遅らせる
・数回に分けて段階的に値上げする
・次回更新まで現在の家賃を維持する
・更新料との重複負担を調整する
・設備の修理や改善を依頼する
・長期間居住している事情を考慮してもらう
・契約期間を変更する
・退去する場合の時期を調整する
貸主側にも、入居者が退去すると空室期間、募集費用、修繕費用などが発生する可能性があります。
これまで家賃滞納がなく、物件を丁寧に使用している場合は、その事情も伝えながら相談しましょう。
■同意書へすぐ署名しない
家賃値上げの通知と一緒に、同意書、覚書、更新契約書などが送られてくる場合があります。
署名や押印をすると、新しい家賃に合意したものとして扱われる可能性があります。
内容を確認する前に署名せず、次の項目を確認しましょう。
・新しい家賃
・共益費や管理費
・変更日
・契約期間
・更新料
・保証会社の費用
・火災保険料
・その他の変更条項
・従来の契約から変更される部分
家賃以外の契約条件が同時に変更されていることもあります。
不明な部分がある場合は、署名期限の延長を相談し、説明を受けましょう。
■口座振替の金額にも注意する
家賃を口座振替やクレジットカードで支払っている場合は、値上げ後の金額が自動的に請求される可能性があります。
同意していない金額が請求される予定になっている場合は、管理会社へ早めに確認しましょう。
ただし、自分の判断だけで口座振替を停止すると、従来の家賃まで支払えなくなることがあります。
確認する内容は次のとおりです。
・次回の請求額
・引き落とし日
・変更された費用の内訳
・保証会社からの請求か
・従来家賃の支払い方法
・差額の取り扱い
家賃の支払い記録は、通帳、利用明細、領収書などで保管しましょう。
■家賃の支払いを止めてはいけない
値上げに納得できない場合でも、家賃を一切支払わないことは避けましょう。
借地借家法第32条では、増額について協議がまとまらない場合、増額を正当とする裁判が確定するまで、借主は自分が相当と認める家賃を支払えばよいとされています。
しかし、全額を支払わずに放置すると、家賃滞納として契約解除を求められる可能性があります。
貸主が従来の家賃を受け取らない場合は、法務局へ家賃を供託する方法を検討することがあります。
供託には要件や手続きがあるため、自己判断で進めず、法務局や弁護士などへ相談しましょう。
■裁判で値上げが認められた場合
家賃の金額について話し合いで合意できない場合は、調停や訴訟によって適正額を判断することがあります。
裁判で値上げが認められ、借主がそれまで支払っていた金額では不足していた場合、借地借家法第32条により、不足額に年1割の割合による利息を付けて支払う必要があります。
そのため、「裁判が終わるまで従来の家賃だけ支払えば、差額は一切発生しない」とは限りません。
値上げ請求を受けた日、提示された金額、支払った家賃、貸主とのやり取りなどを記録しておきましょう。
争いが長期化しそうな場合は、早い段階で専門家へ相談することが大切です。
■家賃以外の値上げにも注意する
通知の内容が、家賃ではなく共益費、管理費、駐車場代、付帯サービス費用などの変更である場合があります。
これらの費用は、家賃と契約上の取り扱いが異なる可能性があります。
次の項目を確認しましょう。
・何の費用が値上げされるのか
・賃貸借契約に含まれている費用か
・別契約になっているか
・値上げの根拠
・契約書に改定条項があるか
・サービス内容も変わるか
・解約できる付帯契約か
家賃は据え置きでも、共益費や月額サービス費用が上がり、毎月の総支払額が増える場合があります。
通知書に記載された合計額だけでなく、費用ごとの内訳を確認しましょう。
■設備が古い場合は値上げを断れる?
エアコン、給湯器、キッチンなどの設備が古いことを理由に、必ず家賃の値上げを拒否できるとは限りません。
しかし、物件の状態や設備は、周辺の同種物件と比較する際の条件に関係します。
例えば、比較対象となっている物件が新築または大規模リフォーム済みである一方、現在の部屋には古い設備が多い場合、単純に同じ家賃水準として比較することが適切でない可能性があります。
不具合が発生している場合は、値上げの話とは分けて、修理を依頼しましょう。
設備の不具合について、次の記録を残しておくと安心です。
・故障や不具合の内容
・発生した日
・管理会社へ連絡した日
・写真や動画
・修理の対応状況
・生活への影響
設備が使用できない状況では、内容や程度によって家賃の減額が問題になる場合もあります。
■生活保護受給中に値上げされた場合
生活保護を受給している方の家賃が値上げされる場合は、担当ケースワーカーへ早めに相談しましょう。
家賃の値上げに伴い、住宅扶助が自動的に同じ金額だけ増えるとは限りません。
主に次の内容が確認される可能性があります。
・現在の家賃
・値上げ後の家賃
・住宅扶助の上限
・値上げの理由
・貸主から届いた通知書
・現在の世帯人数
・代理納付の金額
・現在の住居を継続する必要性
・転居が必要になる可能性
住宅扶助の上限を超える場合は、不足分の支払い方法や今後の住まいについて相談を受ける可能性があります。
貸主と合意する前に通知書をケースワーカーへ見せ、必要な手続きを確認しましょう。
■値上げを理由に引っ越す場合
家賃の値上げを受け、別の賃貸物件への転居を考えることもあるでしょう。
ただし、値上げ額だけで判断すると、引っ越し後の総負担が増える可能性があります。
転居を検討するときは、次の費用を比較しましょう。
・新しい物件の家賃
・共益費や管理費
・敷金や礼金
・仲介手数料
・保証会社の費用
・火災保険料
・鍵交換費用
・引っ越し費用
・現在の部屋の退去費用
・通勤や通学の交通費
月額3,000円の値上げを避けるために転居しても、初期費用や引っ越し費用を回収するまでに長い期間がかかる場合があります。
現在の住居を継続する場合と転居する場合の費用を、少なくとも1年から2年程度の期間で比較すると判断しやすくなります。
■相談先を使い分ける
家賃の値上げについて困った場合は、相談内容に応じて窓口を使い分けましょう。
主な相談先は次のとおりです。
・契約内容や通知の確認は管理会社
・物件の家賃相場や住み替えは不動産会社
・消費生活上の相談は消費生活センター
・法律上の判断や交渉は弁護士
・収入要件に該当する場合は法テラス
・供託の手続きは法務局
・生活保護受給中の場合は担当ケースワーカー
消費者ホットライン「188」へ電話すると、最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口を案内してもらえます。
裁判所から書類が届いた場合や、契約解除、明渡しを求められている場合は、放置せず、弁護士などへ早めに相談しましょう。
■家賃値上げ通知が届いたときの流れ
家賃の値上げを知らせる通知が届いた場合は、次の順番で対応しましょう。
1.通知書と封筒を保管する
2.値上げ額と開始予定日を確認する
3.現在の賃貸借契約書を確認する
4.普通借家契約か定期借家契約か確認する
5.値上げの理由と根拠を尋ねる
6.周辺の類似物件の家賃を調べる
7.同意するか、条件を交渉するか検討する
8.回答は記録が残る方法で行う
9.家賃の支払い自体は止めない
10.解決が難しい場合は専門窓口へ相談する
電話で話した場合も、日時、相手の氏名、話した内容をメモしておきましょう。
後から認識の違いが生じないよう、重要な内容はメールや書面でも確認することが大切です。
■まとめ
家賃の値上げは、貸主が通知すれば、提示した金額に必ず変更されるというものではありません。
税負担、経済事情、土地や建物の価格、周辺の家賃相場などを踏まえ、現在の家賃が不相当になっているかを確認する必要があります。
値上げ額に納得できない場合は、理由や算定根拠を確認し、貸主や管理会社と協議しましょう。
ただし、通知を無視したり、家賃の支払いを止めたりすると、家賃滞納として別の問題につながる可能性があります。
また、普通借家契約と定期借家契約では、契約期間が満了するときの取り扱いが異なります。
契約書、通知書、支払い記録、管理会社とのやり取りを保管し、状況に応じて専門家へ相談することが大切です。
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スマイファミリー大宮店では、大宮を中心に埼玉県内のお部屋探しについてご相談を承っています。
「家賃が上がるため住み替えを検討している」
「現在の家賃と周辺相場を比較したい」
「更新後の総支払額が高くなってしまう」
「初期費用を抑えて引っ越したい」
「入居審査に不安がある」
「生活保護に対応した賃貸物件を探したい」
このような場合も、現在の家賃、値上げ額、契約更新日、転居に必要な初期費用などを確認しながら、現在の住居を継続する場合と住み替える場合を整理します。
家賃の値上げ通知が届いても、慌てて退去を決める必要はありません。
まずは通知と契約内容を確認し、現在の住居を継続できるか、条件に合う物件へ住み替えるかを比較することが大切です。
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