
防災の日に確認したい埼玉の賃貸地震対策|家具固定・避難場所・備蓄を解説
9月1日は「防災の日」、8月30日から9月5日までは「防災週間」です。
地震は発生する日時を予測できないため、普段から住まいの安全性や避難方法を確認しておくことが大切です。
特に賃貸住宅では、「壁に穴を開けられないので家具を固定できない」「避難所がどこか分からない」「建物に被害が出たら誰へ連絡する?」「火災保険に入っていれば地震も補償される?」といった疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。
賃貸住宅であっても、家具の配置を変える、穴を開けない転倒防止器具を使う、避難経路を確認するなど、入居者自身で進められる対策はあります。
一方、壁や柱へのネジ止め、共用部分への防災用品の設置、建物設備に関する対応などは、貸主や管理会社への確認が必要になる場合があります。
今回は、埼玉県内の賃貸物件で暮らしている方へ、防災の日をきっかけに確認したい地震対策、家具の固定、避難場所、備蓄、地震保険、被災後の連絡について解説します。
■埼玉県が推奨する「3つの自助」
埼玉県では、大地震に備えて、県民に次の3つの自助の取り組みを推奨しています。
・家具の固定
・災害用伝言サービスの体験利用
・3日分以上の水や食料の備蓄
大規模な災害が発生すると、行政や消防などによる支援がすぐに届かない可能性があります。
道路の寸断、鉄道の運休、停電、断水、通信障害、物流の停止などが同時に発生することも考えられます。
そのため、災害が起きてから防災用品を購入するのではなく、普段の生活のなかで少しずつ備えることが重要です。
防災の日や防災週間を、住まいの安全性や備蓄を確認する機会にしましょう。
■まずは部屋のなかに安全な場所をつくる
地震対策というと、防災リュックや非常食を最初に思い浮かべるかもしれません。
しかし、大きな揺れが発生した直後に身を守るためには、家具や家電が倒れにくい部屋にしておくことが重要です。
埼玉県は、家具の配置について次のような対策を案内しています。
・出入口付近に倒れやすい家具を置かない
・廊下や階段などの避難経路をふさがない
・寝室にはできるだけ大型家具を置かない
・ベッドや布団へ家具が倒れない向きに配置する
・火気の周辺に家具を置かない
・家具の上にガラス製品などを置かない
・重い物を家具の下段へ収納する
家具を完全に固定できない場合でも、配置や収納方法を変えることで被害を減らせる可能性があります。
特に、寝ている場所、日常的に長く過ごす場所、玄関までの避難経路を優先して確認しましょう。
■賃貸でもできる家具転倒防止
家具を壁へ直接固定する場合は、L型金具、ベルト、チェーンなどを使用する方法があります。
ただし、賃貸住宅の壁や柱へネジやくぎを打つと、退去時の原状回復に関する問題が生じる可能性があります。
国土交通省の民間賃貸住宅に関する相談対応事例集でも、地震に備えて家具の転倒防止措置を行う場合は、あらかじめ貸主の承諾を得るか、くぎやネジを使わない方法を検討することが示されています。
壁や柱へ穴を開ける方法を希望する場合は、自己判断で施工せず、管理会社または貸主へ相談しましょう。
壁へ穴を開けにくい賃貸住宅では、次のような方法を検討できます。
・家具と天井の間にポール式器具を設置する
・家具の下へストッパー式器具を取り付ける
・粘着マット式器具を併用する
・家具同士を連結する
・キャスター付き家具をロックする
・扉に開放防止器具を取り付ける
・テレビや電子レンジの下へ耐震マットを敷く
・ガラスへ飛散防止フィルムを貼る
ポール式器具だけではなく、家具の下にストッパー式やマット式の器具を併用することで、転倒防止効果を高められる場合があります。
ただし、天井や家具の強度、器具の設置条件によって効果が異なります。
商品の説明書を確認し、正しい位置や方法で取り付けましょう。
■埼玉県の家具固定サポーター制度
埼玉県では、家具の固定を専門家へ依頼したい県民に向けて「家具固定サポーター登録制度」を実施しています。
登録された事業者へ家具固定に関する相談や見積もりを依頼でき、相談と見積もりは無償、実際の施工は有償です。
高齢者だけで暮らしている方、障害などによって作業が難しい方、大型家具を自分で動かせない方にとっても、検討しやすい制度です。
ただし、賃貸住宅でネジや金具を使う施工を行う場合は、制度を利用する場合でも貸主や管理会社の承諾が必要になる可能性があります。
依頼前に、次の内容を確認しましょう。
・壁へ穴を開ける施工か
・貸主の承諾が必要か
・見積もりと施工費用
・施工する壁や天井の状態
・退去時の取り扱い
・取り外しや補修の費用
専門家へ依頼する場合も、賃貸借契約上の手続きを省略しないことが大切です。
■家電や室内設備も確認する
地震で移動したり転倒したりするのは、タンスや本棚だけではありません。
テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、照明器具、パソコンなども確認しましょう。
主な対策は次のとおりです。
・テレビを耐震マットやベルトで固定する
・冷蔵庫の上に重い物を置かない
・電子レンジや炊飯器の落下対策を行う
・吊り下げ照明の下にベッドを置かない
・棚の扉へ開放防止器具を取り付ける
・食器棚のガラスへ飛散防止フィルムを貼る
・窓ガラスの近くに寝具を置かない
・割れたガラスに備えて室内履きを準備する
水槽、観葉植物、置物なども、揺れによって落下や転倒をする可能性があります。
高い位置へ重い物や割れやすい物を置いていないか、部屋全体を見直しましょう。
■感震ブレーカーも確認する
地震による停電が復旧した際、倒れた電気器具や傷ついた配線へ再び電気が流れることで、火災につながることがあります。
こうした通電火災への対策として、一定以上の揺れを感知したときに電気を遮断する「感震ブレーカー」があります。
感震ブレーカーには、分電盤へ内蔵するタイプ、既存の分電盤へ後付けするタイプ、コンセントタイプなどがあります。
賃貸住宅では、分電盤や電気設備を自己判断で交換できない場合があります。
設置を希望するときは、管理会社や貸主へ相談し、工事の可否や費用負担を確認しましょう。
また、地震発生時に避難する場合は、可能であれば電気器具のスイッチを切り、ブレーカーを落とすことも確認しておきましょう。
ただし、火災や建物倒壊などの危険が迫っているときは、ブレーカー操作よりも自分の避難を優先してください。
■玄関までの避難経路を確保する
大きな地震が発生すると、家具の転倒、割れたガラス、散乱した生活用品によって、玄関まで移動できなくなる可能性があります。
次の場所には、倒れやすい物や荷物を置かないようにしましょう。
・玄関の前
・部屋から玄関までの通路
・廊下
・階段
・ベランダへ出る窓の前
・避難はしごや隔て板の周辺
共同住宅の廊下、階段、避難はしご、ベランダの隔て板などは、災害時の避難に使用する可能性がある共用部分です。
段ボール、自転車、植木鉢、収納用品などを置くと、避難や救助の妨げになることがあります。
物件ごとの使用規則を確認し、避難経路となる場所へ私物を置かないようにしましょう。
■避難場所と避難所は事前に確認する
災害が発生してから、スマートフォンで避難先を調べられるとは限りません。
停電、通信障害、端末の故障、充電切れなどにより、インターネットへ接続できなくなる可能性があります。
さいたま市では、指定緊急避難場所、指定避難所、応急給水場所などを案内しています。
自宅周辺について、次の内容を事前に確認しましょう。
・最寄りの指定緊急避難場所
・最寄りの指定避難所
・応急給水場所
・自宅から避難先までの経路
・道路や橋の危険箇所
・家族との待ち合わせ場所
・ペットを連れて避難する場合のルール
地図をスマートフォンへ保存するだけでなく、紙でも保管しておくと安心です。
夜間、雨天時、道路が通れない場合などを想定し、複数の避難経路を考えておきましょう。
■地震防災マップを確認する
さいたま市は、想定される地震の震度分布などを示した「地震防災マップ」を公表しています。
地震による揺れだけでなく、洪水、内水、土砂災害などのハザードマップも確認しておくことが大切です。
賃貸物件を探す際は、次の情報を確認しましょう。
・物件周辺の揺れやすさ
・建物の構造
・建築された時期
・階数と部屋の位置
・避難所までの距離
・周辺道路の状況
・洪水や内水による浸水想定
・土砂災害警戒区域に該当するか
ハザードマップに色が付いていない場所でも、災害が発生しないと保証されるわけではありません。
一方、想定区域に入っているという理由だけで、必ず被害が発生するわけでもありません。
災害リスクの有無だけで判断せず、建物の状況、避難方法、家族構成、通勤や通学なども含めて住まいを検討しましょう。
■地震が起きたら必ず避難所へ行く?
地震が発生したからといって、すべての人が直ちに避難所へ行くとは限りません。
建物に大きな被害がなく、火災や周辺の危険がなく、自宅で安全に生活できる場合は、在宅避難を選択することもあります。
一方、次のような場合は、自宅にとどまらず安全な場所への避難を検討します。
・建物が傾いている
・柱や壁に大きな損傷がある
・火災が発生している
・ガス臭がする
・ドアや窓が大きく変形している
・自治体から避難に関する情報が出ている
・周辺で崖崩れや浸水などの危険がある
・余震によって倒壊するおそれがある
建物の安全性を自分だけで判断できない場合は、管理会社、貸主、自治体などからの情報を確認しましょう。
危険を感じる場合は、室内へ戻らず安全な場所で待機することも必要です。
■在宅避難に備えて7日分以上を意識する
さいたま市では、在宅避難を想定した食料品と飲料水について、7日分以上の備蓄を案内しています。
飲料水は、大人一人につき1日3リットルが目安です。
一人暮らしの場合でも、7日分では21リットルが目安になるため、一度に用意するのが難しいことがあります。
普段から使用する食品や日用品を少し多めに購入し、古いものから使って、使った分を買い足す「ローリングストック」を取り入れると続けやすくなります。
備蓄品として、次のような物を確認しましょう。
・飲料水
・レトルト食品や缶詰
・栄養補助食品
・カセットコンロとガスボンベ
・携帯トイレ
・トイレットペーパー
・モバイルバッテリー
・懐中電灯やランタン
・乾電池
・救急用品
・常用薬
・マスク
・ウェットティッシュ
・ポリ袋
・ラップ
・軍手
・室内履き
・現金
・身分証明書などの控え
乳幼児、高齢者、障害のある方、アレルギーのある方、持病のある方がいる世帯では、それぞれに必要な物を追加します。
ペットと暮らしている場合は、フード、水、薬、リード、ケージ、トイレ用品なども準備しましょう。
■水だけでなく携帯トイレも重要
断水すると、飲み水だけでなくトイレも使えなくなる可能性があります。
集合住宅では、排水管が破損している状態で水を流すと、下の階で汚水が漏れるなど、被害が広がることも考えられます。
地震後は、管理会社などによって排水設備の安全が確認されるまで、トイレや排水の使用を控える必要が生じる場合があります。
さいたま市は、在宅避難に備える非常用トイレについて、一人1日5回分を目安に7日分以上の備蓄を案内しています。
一人暮らしでも35回分が一つの目安になります。
携帯トイレは、防災リュックだけではなく、自宅のトイレ付近にも保管しておきましょう。
■高層階ではエレベーター停止も想定する
マンションやアパートの高層階では、地震によってエレベーターが停止する可能性があります。
復旧まで階段を使用することになれば、水や食料を高層階まで運ぶのが難しくなることがあります。
高層階で暮らしている方は、次の内容も確認しましょう。
・エレベーター停止時の階段経路
・非常階段の位置
・管理会社の緊急連絡先
・エレベーター内の非常ボタン
・建物の防災設備
・水や食料を室内に備蓄できているか
・家族に階段移動が難しい人がいないか
地震の揺れを感じたときは、エレベーターを使って避難しないようにしましょう。
エレベーター内で地震が発生した場合は、可能であればすべての階のボタンを押し、停止した階で降りるなど、設備の案内に従って行動します。
■家族との連絡方法を決めておく
大規模災害時は、電話がつながりにくくなる可能性があります。
家族や同居人とは、次の内容を事前に決めておきましょう。
・災害用伝言ダイヤル171の利用方法
・携帯電話会社の災害用伝言板
・連絡が取れない場合の集合場所
・自宅に戻れない場合の避難先
・遠方に住む親族などの連絡先
・子どもの学校や保育施設の引き渡し方法
・高齢者や障害のある家族の避難方法
・ペットの避難方法
家族全員が同じ地域にいると連絡が取りにくくなる場合があるため、被災地域外に住む親族などを共通の連絡先に決める方法もあります。
連絡方法は一つだけにせず、複数用意しておきましょう。
■火災保険だけでは地震被害を補償できない場合がある
賃貸住宅へ入居するときは、火災保険や家財保険へ加入することがあります。
しかし、通常の火災保険では、地震、噴火、津波を原因とする火災や家財の損害が補償されない場合があります。
地震による家財の損害へ備える場合は、火災保険に地震保険を付帯する方法があります。
日本損害保険協会によると、賃貸住宅に住んでいる方は、家財を対象とした地震保険へ加入できます。
現在加入している保険について、次の内容を確認しましょう。
・地震保険が付帯されているか
・家財の補償額
・地震による火災が対象になるか
・保険の契約期間
・地震保険料
・事故発生時の連絡先
・保険証券や加入証明書の保管場所
地震保険は単独では契約できず、火災保険へセットして加入します。
すでに火災保険へ加入している場合でも、契約期間の途中から地震保険を付けられることがあります。
具体的な加入条件や補償内容は、保険会社または保険代理店へ確認しましょう。
■建物の保険と入居者の家財は別
賃貸物件の建物には、貸主が建物を対象とする保険をかけていることがあります。
しかし、貸主の保険によって、入居者が所有する家具、家電、衣類なども自動的に補償されるとは限りません。
一般的には、建物と入居者の家財は別の補償対象です。
地震でテレビ、冷蔵庫、パソコン、食器、家具などが壊れた場合に備えたいときは、自分が加入している家財保険と地震保険の内容を確認しましょう。
「建物に保険があるから、自分の家財も補償される」と判断しないことが大切です。
■地震発生後に管理会社へ連絡する内容
地震によって賃貸物件に被害が発生した場合は、安全を確保したうえで管理会社または貸主へ連絡します。
主に伝える内容は次のとおりです。
・物件名と部屋番号
・契約者の氏名
・現在いる場所
・けが人の有無
・建物や室内の被害
・ガスや水道の異常
・玄関ドアや窓が開くか
・共用部分の被害
・避難している場所
・連絡可能な電話番号
被害箇所は、安全な範囲で写真や動画に残しておきましょう。
管理会社や保険会社の確認を受ける前に、自分の判断で大規模な修理をしたり、被害を受けた家財をすべて処分したりすると、被害状況を確認できなくなる可能性があります。
ただし、火災、ガス漏れ、漏電、倒壊などの危険がある場合は、記録よりも避難を優先してください。
■ガスや水道に異常がある場合
地震後にガス臭を感じた場合は、火気や電気のスイッチを使用せず、可能な範囲で窓を開け、ガス会社や消防などへ連絡します。
水道管や給湯器から漏水している場合は、安全に操作できる範囲で元栓を閉め、管理会社へ連絡しましょう。
次のような異常がある場合は、自己判断で使用を再開しないことが大切です。
・ガス臭がする
・配管が外れている
・給湯器が傾いている
・水が止まらない
・壁や天井から漏水している
・コンセントや配線が破損している
・焦げた臭いがする
・分電盤が破損している
緊急性が高い場合は、管理会社だけでなく、消防、警察、ガス会社など適切な窓口へ連絡しましょう。
■帰宅できない場合は無理に移動しない
大規模な地震が発生すると、鉄道の運休や道路の混雑によって、多くの帰宅困難者が発生する可能性があります。
さいたま市は、首都直下地震などが発生した直後の基本原則として「むやみに移動を開始しない」ことを案内しています。
職場や外出先の建物が安全である場合は、その場所で待機し、交通機関や周辺の被害状況を確認しましょう。
徒歩で長距離を移動すると、火災や建物の倒壊に巻き込まれたり、救助活動や緊急車両の通行を妨げたりする可能性があります。
普段から職場や車内にも、飲料水、携帯食、モバイルバッテリー、歩きやすい靴などを準備しておくと安心です。
■防災の日に確認したいチェック項目
防災の日や防災週間には、次の項目を一つずつ確認しましょう。
・家具がベッドや出入口へ倒れないか
・壁を傷つけずにできる家具固定を行っているか
・壁への固定について管理会社へ相談したか
・テレビや電子レンジの落下対策をしているか
・窓や食器棚のガラス対策をしているか
・玄関までの避難経路が確保されているか
・共用廊下やベランダへ物を置いていないか
・最寄りの避難所を確認したか
・応急給水場所を確認したか
・地震防災マップを確認したか
・7日分以上の水や食料を備蓄しているか
・携帯トイレを備蓄しているか
・家族との連絡方法を決めているか
・管理会社の緊急連絡先を保存しているか
・火災保険と地震保険の内容を確認したか
すべてを一度に揃える必要はありません。
寝室の家具を移動する、避難所を調べる、水を買い足すなど、すぐにできることから始めましょう。
■埼玉県で災害リスクも考えたお部屋探しをしたい方へ
スマイファミリー大宮店では、大宮を中心に埼玉県内のお部屋探しについてご相談を承っています。
「ハザードマップを確認しながら物件を探したい」
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「避難所に近い物件を探したい」
「低層階と高層階の違いを知りたい」
「子どもや高齢者と暮らしやすい部屋を探したい」
「災害時の避難経路も考えて物件を選びたい」
このような場合も、家賃や間取りだけでなく、建物の状況、周辺環境、災害リスク、避難経路などを確認しながら、希望に合う住まいを一緒に整理します。
ハザードマップは、物件を避けるためだけの資料ではありません。
どのような災害が想定され、どのように備え、どこへ避難するかを考えるための資料です。
防災の日をきっかけに、現在の住まいと避難方法を見直してみましょう。
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