
住宅省エネ2026の申請が進行中|賃貸住宅でも使える?対象工事と注意点を解説
電気代やガス代、建築費、住宅設備の価格が上昇するなか、住まいの省エネ性能を高めるための補助制度に注目が集まっています。
現在、国は「住宅省エネ2026キャンペーン」として、省エネ性能の高い住宅の新築、窓の断熱改修、高効率給湯器への交換などを支援しています。
2026年8月30日時点では、給湯省エネ2026事業の補助金申請額が予算の40%、賃貸集合給湯省エネ2026事業が37%、先進的窓リノベ2026事業が20%に達しています。
新築のGX志向型住宅については、申請額が予算の52%まで進みました。
申請期限は事業によって設定されていますが、予算の上限に達した場合は、期限を待たずに受付が終了します。
「年末までに工事をすれば必ず間に合う」という制度ではないため、利用を検討している方は早めに対象条件を確認することが大切です。
今回は、日本全国で利用できる住宅省エネ2026キャンペーンについて、対象となる住宅や工事、賃貸住宅で利用する場合の考え方、契約前に確認したい注意点を解説します。
■住宅省エネ2026キャンペーンとは?
住宅省エネ2026キャンペーンは、家庭部門の省エネ化を進めるため、国土交通省、経済産業省、環境省が連携して実施する支援制度です。
一つの補助金だけではなく、主に次の4事業で構成されています。
・みらいエコ住宅2026事業
・先進的窓リノベ2026事業
・給湯省エネ2026事業
・賃貸集合給湯省エネ2026事業
新築住宅だけでなく、既存住宅のリフォームや設備交換も対象になる可能性があります。
また、一部の新築住宅を除き、子育て世帯だけに限定された制度ではありません。
持ち家、賃貸住宅、戸建て住宅、マンションなど、住宅の種類や工事内容に応じて対象となる事業が異なります。
■現在の申請状況
2026年8月30日時点で公表されている、予算に対する補助金申請額の割合は次のとおりです。
・新築のGX志向型住宅 52%
・新築の長期優良住宅・ZEH水準住宅 26%
・みらいエコ住宅2026のリフォーム 4%
・先進的窓リノベ2026事業 20%
・給湯省エネ2026事業 40%
・賃貸集合給湯省エネ2026事業 37%
この割合には、提出済みの交付申請や申請予約が含まれています。
今後、駆け込み申請が増えると、短期間で割合が上昇する可能性もあります。
補助制度を利用したい場合は、見積もりを取るだけでなく、依頼する施工会社が登録事業者であるか、申請予約ができるか、工事完了後の申請に間に合うかまで確認しましょう。
■みらいエコ住宅2026事業とは?
みらいエコ住宅2026事業では、一定の省エネ性能を備えた新築住宅や、省エネ性能を高めるリフォームを支援しています。
新築住宅では、主に次の住宅が対象です。
・GX志向型住宅
・長期優良住宅
・ZEH水準住宅
GX志向型住宅は、原則としてすべての世帯が対象です。
一方、長期優良住宅とZEH水準住宅の新築については、子育て世帯または若者夫婦世帯などの要件があります。
補助額は住宅の性能、建築する地域、住宅の種類、古家の除却を伴うかなどによって異なります。
新築住宅を購入する場合は、単に「省エネ住宅」と表示されているだけで判断せず、補助対象住宅として申請できるかを住宅会社へ確認しましょう。
■リフォームでは何が対象になる?
既存住宅のリフォームでは、住宅の断熱性能や省エネ性能を高める工事などが対象になる可能性があります。
主な工事は次のとおりです。
・窓やドアなど開口部の断熱改修
・外壁、屋根、天井、床の断熱改修
・節湯水栓
・高断熱浴槽
・省エネ性能を備えた設備
・子育て対応改修
・バリアフリー改修
・防災性向上改修
・空気清浄機能や換気機能を備えたエアコンの設置
すべてのリフォーム工事が補助対象になるわけではありません。
対象製品、性能、工事内容、最低申請額などの条件があるため、一般的な設備へ交換しただけでは対象外になる場合があります。
また、補助対象製品として登録されている設備を使用する必要があります。
■先進的窓リノベ2026事業とは?
先進的窓リノベ2026事業は、断熱性能の高い窓やガラスなどを使用した改修工事を支援する制度です。
対象になる可能性がある工事は次のとおりです。
・既存窓のガラス交換
・内窓の設置
・外窓の交換
・一定の条件を満たすドア交換
補助額は、住宅の建て方、窓の大きさ、製品の性能、施工方法などによって変わります。
住宅の場合は、対象工事の補助額が合計5万円以上になることが条件です。
窓の断熱性能を高めると、夏は外からの熱が入りにくくなり、冬は室内の暖かい空気が逃げにくくなります。
冷暖房の効率改善、結露の軽減、室内温度差の緩和などが期待できますが、実際の効果は住宅の構造や設置状況によって異なります。
■ドアだけの交換は対象になる?
先進的窓リノベ2026事業では、ドア交換だけを単独で行う工事は、原則として補助対象になりません。
窓の工事と同じ契約で実施し、同時に申請するなどの条件があります。
また、マンションなどで玄関ドアが内廊下に面している場合は、外気に接する開口部に該当せず、対象外になる可能性があります。
玄関ドアを交換したい場合は、契約前に施工会社へ次の内容を確認しましょう。
・対象製品として登録されているか
・窓工事と同時に申請できるか
・玄関ドアが外気に接しているか
・管理規約上、交換が認められているか
・共用部分に該当しないか
マンションの窓や玄関ドアは共用部分として扱われることがあるため、所有者の判断だけで工事を進められない場合があります。
■給湯省エネ2026事業とは?
給湯省エネ2026事業は、一定の性能を満たす高効率給湯器の導入を支援する制度です。
対象になる主な設備は次のとおりです。
・ヒートポンプ給湯機
・ハイブリッド給湯機
・家庭用燃料電池
戸建て住宅だけでなく、共同住宅も対象になる可能性があります。
既存住宅の所有者だけでなく、一定の条件を満たす賃借人も対象者として示されています。
ただし、対象機器を購入して設置すれば、自動的に補助金が受け取れるわけではありません。
登録された給湯省エネ事業者と契約し、対象製品を設置する必要があります。
■賃貸集合給湯省エネ2026事業とは?
賃貸集合給湯省エネ2026事業は、既存の賃貸集合住宅に設置されている給湯器を、省エネ性能の高い小型給湯器へ交換する取り組みを支援する制度です。
主に賃貸マンションやアパートの所有者などが対象になります。
入居者がそれぞれ自由に給湯器を交換する制度ではありません。
賃貸住宅の給湯器は貸主側の設備であることが多いため、交換を希望する場合は、まず貸主や管理会社へ相談します。
給湯器の調子が悪い場合も、入居者が自分で業者を手配して交換すると、費用負担や設備の所有権をめぐって問題になる可能性があります。
不具合がある場合は、次の内容を管理会社へ伝えましょう。
・お湯が出ない
・お湯の温度が安定しない
・異音や異臭がする
・エラー表示が出ている
・給湯器から水漏れしている
・設備の使用年数が長いと思われる
ガス臭など安全に関わる異常がある場合は、使用を中止し、ガス会社や管理会社などへ速やかに連絡しましょう。
■賃貸住宅の入居者も補助金を使える?
制度によっては、賃借人が対象者に含まれる場合があります。
ただし、賃貸住宅の設備や建物を変更する場合は、補助制度の条件とは別に、貸主の承諾が必要です。
例えば、内窓の設置や給湯器の交換を希望しても、入居者が無断で工事を行うことは避けましょう。
確認する内容は次のとおりです。
・貸主や管理会社の承諾を得られるか
・工事する部分が専有部分か共用部分か
・工事費用を誰が負担するか
・補助金を誰が受け取るか
・退去時に原状回復が必要か
・設備の所有者は誰になるか
・故障時の修理責任を誰が負うか
補助対象になることと、賃貸借契約上、工事が認められることは別の問題です。
制度上の確認だけでなく、契約上の承諾も取ってから進める必要があります。
■賃貸オーナーが利用するメリット
賃貸住宅の窓や給湯器を省エネ性能の高い設備へ交換することは、入居者だけでなく、貸主側にもメリットが生じる可能性があります。
考えられるメリットは次のとおりです。
・古くなった設備を更新できる
・入居者の光熱費負担を抑えやすくなる
・断熱性や快適性を高められる
・結露に関する相談を減らせる可能性がある
・物件の付加価値を高められる
・入居募集時の訴求材料になる
・長期入居につながる可能性がある
一方、補助金があっても、工事費用の全額が支給されるとは限りません。
補助対象外となる工事、申請代行費用、追加工事などが発生する可能性もあります。
補助額だけを見て決めるのではなく、自己負担額、修繕計画、設備の耐用年数、空室状況などを含めて検討しましょう。
■入居中の工事では日程調整が必要
賃貸住宅で窓や給湯器を交換する場合は、入居者の室内へ作業員が入ることがあります。
複数の住戸をまとめて工事する場合は、入居者への事前案内と日程調整が必要です。
案内する内容は次のとおりです。
・工事の目的
・工事予定日
・作業時間の目安
・室内への立ち入り
・作業する場所
・家具や荷物を移動する必要があるか
・工事中に水やガスを使用できない時間
・騒音や振動が発生する可能性
・延期や変更時の連絡先
突然工事を始めるのではなく、入居者が予定を調整できる期間を設けることが大切です。
■自分で補助金を申請するの?
住宅省エネ2026キャンペーンでは、一般消費者が直接申請するのではなく、原則として登録事業者が申請手続きを行います。
補助金は、あらかじめ取り決めた方法で、工事代金への充当または現金での支払いなどによって還元されます。
契約前には、施工会社へ次の内容を確認しましょう。
・住宅省エネ支援事業者として登録されているか
・利用する補助事業へ参加しているか
・予定している製品が補助対象か
・補助金の申請を行ってもらえるか
・申請予約を利用するか
・補助金の還元方法
・申請できなかった場合の費用負担
・申請手続きに費用がかかるか
「補助金が使える予定」という口頭説明だけで契約せず、見積書や契約書で条件を確認しましょう。
■申請期限前でも終了する可能性がある
住宅省エネ2026キャンペーンでは、各事業の予算上限に達した時点で受付が終了します。
遅くとも2026年12月31日までとされている事業が多くありますが、すべての申請が年末まで受け付けられるとは限りません。
また、工事を契約した日、着工した日、工事が完了した日、申請した日について、それぞれ要件があります。
工事が終わってから登録事業者を探しても、申請できない可能性があります。
補助制度の利用を前提にする場合は、契約前から施工会社へ相談しましょう。
■申請予約とは?
一部の事業では、工事完了前に交付申請の予約を行える場合があります。
予約によって、一定期間、予算を確保できる可能性があります。
ただし、予約が承認されても、その後に必要な申請や完了報告を行わなければ、補助金の交付が確定するわけではありません。
予約には有効期限があるため、次の内容を確認しましょう。
・予約を提出する時期
・予約の有効期限
・工事完了予定日
・交付申請の期限
・必要書類
・工事内容を変更した場合の手続き
施工会社任せにせず、現在どの段階まで手続きが進んでいるか確認できるようにしましょう。
■対象製品か確認する
窓、給湯器、断熱材などは、省エネ性能を満たす対象製品として登録されている必要があります。
性能が高そうに見える製品でも、必ず補助対象になるとは限りません。
見積書を受け取ったら、次の情報を確認しましょう。
・メーカー名
・商品名
・型番
・製品の性能
・対象製品として登録されているか
・設置する数量
・工事方法
・予定される補助額
対象製品から別の製品へ変更する場合は、変更後も補助要件を満たすか確認が必要です。
在庫不足などによって商品が変わる場合もあるため、施工前に再確認しましょう。
■補助金と見積額の関係
補助金は、工事費用を一律に一定割合まで負担する制度ではありません。
工事内容、設備の種類、性能、サイズ、設置台数などに応じて補助額が定められます。
そのため、補助金を利用しても自己負担が発生します。
見積書では、次の金額を分けて確認しましょう。
・製品代
・施工費
・撤去費
・処分費
・足場代
・追加工事費
・申請に関する費用
・補助予定額
・補助後の実質負担額
補助金が交付されなかった場合に、契約を解除できるのか、費用を全額支払う必要があるのかも確認しておきましょう。
■国と自治体の補助制度は併用できる?
自治体によっては、窓の断熱改修、省エネ設備、給湯器、太陽光発電などに独自の補助制度を設けています。
国の制度と自治体の制度を併用できる場合もありますが、同じ工事に国費が重複して使われる制度などは併用できない可能性があります。
自治体の補助制度を利用したい場合は、次の内容を確認しましょう。
・国の補助金と併用できるか
・同じ設備や工事が重複していないか
・自治体の受付期間
・工事前の申請が必要か
・市区町村内の業者に限定されているか
・税金の滞納がないことなどの条件
・予算の残額
自治体の補助制度は地域によって内容が異なります。
住宅がある地域の都道府県、市区町村の公式情報を確認しましょう。
■補助金を理由に工事を急がせる業者に注意
予算上限がある制度では、「今すぐ契約しないと補助金がなくなる」と契約を急がされることがあります。
実際に予算上限へ達すると受付は終了しますが、そのことだけを理由に、工事内容や費用を確認せず契約することは避けましょう。
次のような場合は慎重に確認してください。
・突然訪問してきた
・今日中の契約を求められた
・補助金で工事費が全額無料になると言われた
・住宅の状態を十分に確認していない
・見積書の内容が一式表示だけになっている
・対象製品の型番が記載されていない
・補助金を受けられなかった場合の説明がない
・会社名や所在地を確認できない
・高額な前払いを求められた
複数社から見積もりを取り、工事内容と自己負担額を比較することも大切です。
不安を感じた場合は、その場で契約せず、家族や専門窓口へ相談しましょう。
■賃貸物件を探すときも省エネ性能を確認する
省エネ性能は、住宅を所有する方だけに関係するものではありません。
賃貸住宅でも、断熱性能や設備の違いによって、室内の快適性や光熱費に差が生じることがあります。
お部屋探しでは、次の内容も確認してみましょう。
・窓が単板ガラスか複層ガラスか
・内窓が設置されているか
・サッシの種類
・給湯器の種類と製造年
・エアコンの年式
・省エネ性能表示
・断熱性能
・日当たりと方角
・最上階や角部屋などの位置
・都市ガスかプロパンガスか
家賃だけでなく、入居後にかかる光熱費や設備の状態まで含めて比較することが大切です。
■契約前に設備の所有者を確認する
賃貸住宅には、貸主が設置した設備と、前の入居者が残した残置物が混在している場合があります。
エアコンや給湯器が設置されていても、すべて貸主の修理対象になるとは限りません。
内見時や契約前には、次の内容を確認しましょう。
・設備として契約書に記載されているか
・残置物ではないか
・故障時に貸主が修理するか
・交換が必要な場合の連絡先
・入居者が交換してよいか
・退去時に撤去する必要があるか
省エネ性能の高い設備へ交換したい場合も、まず契約内容を確認し、管理会社へ相談しましょう。
■住宅省エネ2026を検討するときの流れ
補助制度の利用を検討する場合は、次のような流れで進めます。
1.どの部分を新築または改修したいか整理する
2.住宅省エネ2026キャンペーンの対象を確認する
3.登録事業者を探す
4.対象製品と工事内容を確認する
5.見積書を受け取る
6.補助予定額と自己負担額を確認する
7.申請できなかった場合の取り扱いを確認する
8.契約を締結する
9.要件に沿って工事を行う
10.登録事業者が交付申請を行う
11.補助金の還元方法と時期を確認する
賃貸住宅の場合は、工事契約を進める前に、貸主や管理会社の承諾を得る手続きも必要です。
■2026年8月時点で確認しておきたいこと
住宅省エネ2026キャンペーンの利用を検討している方は、次の内容を早めに確認しましょう。
・利用したい補助事業
・最新の予算消化状況
・交付申請と予約の受付状況
・工事期限と申請期限
・登録事業者かどうか
・使用する設備が対象製品か
・最低申請額を満たすか
・予定される補助額
・補助金の還元方法
・ほかの補助制度と併用できるか
・賃貸住宅の場合は貸主の承諾
制度の内容や予算状況は今後も変わる可能性があります。
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「入居後にかかる費用も考えて部屋を選びたい」
このような場合も、家賃、初期費用、住宅設備、建物の構造、毎月の負担などを確認しながら、条件に合う住まいを整理します。
住宅省エネ2026キャンペーンは全国を対象とした制度ですが、対象条件や申請状況は事業ごとに異なります。
補助制度を前提に新築やリフォームを進める場合は、登録事業者へ相談し、契約前に対象条件と申請スケジュールを確認することが大切です。
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